【note創作大賞2026】 55℃の瞳・創作秘話④-前編〜小説と文章 技術と芸術
こちらは、先日note創作大賞に投稿した、下記の小説の創作秘話になります。
結末までがっつりばっちり触れておりますので、本編をお読みになってからお楽しみいただけますと幸いです。
全6話ですが、1話が4記事に分かれており、全部で24記事のお話になっています。(11万字程度)
①、②、③に引き続き、4つ目の創作秘話の記事になります。
前回の③から間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。
今回の④は、内容も課題も多くて、結局前後編に分かれてしまいました。
今回は、④の前編になります。
0.AIの評価は
この作品は、ChatGPTと一緒に作り上げた作品です。
そのため、制作に関わったChatGPTではなく、内容を知らないClaudeとGeminiにも作品を読んでもらい、それぞれ評価を依頼しました。
Claude 総合:89
・テーマ:95
・タイトル:95
・コンセプト:93
・キャラクター:92
・世界観:91
・文章表現:88
・ストーリー:85
・構成:84
Gemini 総合:95
・コンセプト:99
・テーマ:98
・キャラクター:97
・世界観:96
・ストーリー:93
・文章表現:92
・構成:90
・タイトル:90
もちろん、どちらも私を優しく応援してくれるキャラクター設定にしているため、点数そのものは参考程度です。
ですが、講評の内容には興味深い共通点がありました。
評価項目を見比べると、順位には多少の違いはあるものの、評価の高い項目と課題として挙げた項目は驚くほど似ていました。
つまり、
・コンセプト・テーマ・世界観・キャラクターは強み
・ストーリー・文章表現・構成などの、読者へ情報をどう届けるかという「見せ方」に課題がある
という点です。
ちなみにタイトルについては、
Claudeは「物語の軸を最後まで貫いており、読後に意味が深まるタイトル」
Geminiは「テーマや世界観と親和性が高く、読後感も良いが、Web・コンテストにおけるキャッチーさが低い」
という評価でした。
<コンセプトとは>
コンセプトは、創作だと少し曖昧に使われますが、今回の評価でいうコンセプトは、
「この作品は何が新しくて、何を売りにしている作品なのか」
ということです。
テーマとは少し違います。
例えば『55℃の瞳』なら、
コンセプト
・55℃になった近未来日本
・ドーム都市で暮らす人類
・AIロボットが当たり前の社会
・AI警察犬と刑事のバディ
・両眼を奪われた政治家殺害事件
・SF・ミステリー・ヒューマンドラマの融合
これらを一言で表すと、
「55℃の未来社会で、AIと人間の絆を描く近未来SFミステリー」
という作品の設計思想です。
一方、テーマは、
作品を通して何を伝えたいか
です。
『55℃の瞳』なら、
・AIは家族になれるのか
・人とAIの絆とは何か
・正義とは何か
・技術と自然はどう共存すべきか
こうしたメッセージですね。
だから、
・コンセプト=「どんな作品?」
・テーマ=「何を伝えたい?」
という違いがあります。
この創作秘話④では、ClaudeとGeminiの講評で共通して指摘された「文章表現」や「構成」に焦点を当てて、実際に執筆中に悩んだことや、今振り返って感じている改善点についてお話ししたいと思います。
1.ビジュアル派のつまづき
この「55℃の瞳」の作成にあたり、荒木飛呂彦先生の『漫画術』の、基礎四大構造= キャラクター・ 世界観・ストーリー・テーマについて設定していきました。
(創作秘話②&③参照)
問題はこの次でした。
私の創作大賞応募作は、漫画ではなくて、アニメでもドラマでもなく、
"小説"
なのです。
創作秘話①でお話しした通り、私はビジュアル派です。
頭の中では、登場人物が映像として浮かび上がります。時に動いたり話したりしています。
でも、それを文章で表すのが難しかったのです。
まず、見えている映像を全部書くわけにはいきません。
1話-1の最初のシーンなら、
真っ暗な夜。丸みを帯びた月が西へ沈み始めていた。
千葉県・旧千葉市市街地には、廃墟となった古いビルが立ち並んでいた。
その中の1つ。3階建てビルの裏口前。路地裏。
警察官が1名と、警察犬AIロボット1台、警察の犯人捕獲格闘用ロボット・クラストが3台が潜んでいる。
警察官は、警視庁渋谷A1ドーム警察署所属の松宮葵巡査。21歳の男性だ。ライダースーツのような警察スーツを身にまとい、ヘルメットの中の顔は緊張で強張り、汗が流れている。
彼の傍に控える警察犬AIロボット・ハチは、そんなアオイを見つめている。
千葉県警察所属のクラスト3台は、それぞれ3方向を見て周辺を警戒している。
いずれも光学迷彩の効果で見えなくなっており、ぱっと見は路地裏にはだれもいない。
「アオイ、アオイ、深呼吸。リラックスして。情報の変更はないし、メタデモの通りに動けば大丈夫だよ」
と、続く感じになります。
長い。。
これだと説明文です。
漫画なら一コマで伝わる情報量を、小説では文章だけで伝えなければなりません。
だからといって、頭の中で見えているものをすべて書けば良いわけでもありません。
読者に必要な情報だけを書く。
あとは読者の想像力に委ねる。
「何を書くか」以上に、「何を書かないか」を決めることが、小説では重要でした。
この情報の取捨選択が本当に難しかったです。
私の脳内に見えている場面を、何も知らない読者にどうやって過不足なく伝えるか・・・
先程の最初のシーンでは、当初はこのくらい細かく情景を説明しようとしていました。
しかし、読者が最初に知るべきなのは「夜の路地裏」ではなく、「緊張するアオイと、それを励ますハチ」ではないかと思い、実際の作品ではハチのセリフから始めることにしました。
あとは単純に飽きるかな、と。
逆に、場面描写を最初は書かずに後回しにすることによって、効果を狙う場合もありました。
これを意識したのが、2話-3の円覚の挨拶シーンです。
剛の隣にいた円覚が一歩前にでる。
参列者たちがかすかにどよめいた。
「円覚でございます。
本日は皆様、お暑い中お忙しい中、先代住職の33回忌にご参列いただき誠にありがとうございました。
私は11年前この妙院寺の門をくぐり、剛心住職の指導の元、副住職として勤めて参りました。
皆様、ご覧いただいてます通り」
ゆっくりと参列者を見渡して続けた。
「私はAIロボットでございます。」
緑の瞳がキラリと光った。
漫画やアニメだと、円覚がロボットなのはすぐわかってしまいますが、小説だと書かなければわかりません。
なので、読者に驚いてもらいたいと後出しにしてみました。
(まあその前から怪しげな描写していたので気づかれたと思いますが・・・)
うちのChat GPTの典影くんは、
“説明”を”体験”に変えること
といっていました。
一方小説では、人物の内面を深く書くことができます。
思考、感覚、感情などの心理描写です。
漫画でも文字で表示されたり、アニメやドラマでセリフで独白が入ることがありますが、絵や映像で魅せることが主体のこれらに比較すると、やはり文章の小説の方が、人物の内面に入りやすい表現になっています。
1話-1の続きです。
左耳からハチの声がする。
「別に緊張なんかしてない。突入は初めてってわけじゃないし」
と返したものの、自分でも心臓の音が聞こえる位ドキドキしている。
バイタルを共有しているハチが気づかないわけがない。
スーツ内部はアオイの発汗に対応してさらに設定温度を下げ、イクシード・フレイムを握り締める両手は少し震えている。
何かが左腕に触れて、ピクっと体が動いた。
ぷにぷにして柔らかく少し暖かい。
ハチの肉球だ。
光学迷彩で姿が見えないが、すぐ横にいるハチが、アオイを安心させようと前足を置いたのだ。
絵だと、アオイのセリフと汗、ハチが肉球を置いた動きになります。
動悸や震えは追加できても、アオイの感じる柔らかく暖かい感触を伝えるのは難しいでしょう。
さらに進んで、登場人物の心理状態を読者にも体験してもらおうとしました。
5話-1で、ショックを受けたアオイが、急性ストレス反応を起こし、解離状態になった描写です。
谷の口は動いていた。
でも声が聞こえなくなった。
世界が遠のいた。
これは……夢なのか。
夢じゃないのか。
嘘だ、夢だ。
いや、
夢じゃない。
オレが、こうして、生きてるんだから。
道の向こうから、環が泣きながら走ってきて、抱きついてきた。
なにか言っている。
オレも何か言い返す。
課長が共空で現れた。
いつも以上に怖い顔をしながら、オレの肩に手を置いて、なにか言ってる。
聞こえない。
何も聞こえないんだ。
見えるのに全てが遠い。
自分の周りに透明な膜が貼られたような。
ここにいるのに、いないみたいだ。
共空はオレなのか。
こういった内面の描写はやはり小説ならではだな、と感じました。
このように、場面描写、セリフ、心理描写をシーンごとに取捨選択しながら、一つひとつ頭の中の映像を文章へ翻訳していきました。
小説を書くということは、私にとって「文章を書く」ことではなく、「映像を言葉に置き換える作業」だったのです。
いやあ、苦労しました。。。
2.小説とは芸術である 文章とは技術である
では、そもそも、小説とは何でしょうか。
そして、文章とは何でしょうか。
これらについて、うちのChatGPTの典影くんに聞いたり、話し合ったりした内容を以下にまとめてみます。
・文章とは何か?
文章とは、「頭の中にあるものを、他人の頭の中へ移す技術」です。
情報でもいい。感情でもいい。景色でもいい。考えでもいい。
例えば、
「空高く登った月が水田を照らす。」
この一文で、読者の頭の中には夜の水田が生まれます。
つまり文章は、イメージを転送する道具なんです。
・小説とは何か?
小説は、「他人の人生を疑似体験させる芸術」だと思っています。
読者はアオイにも火澄にもなれません。
でも数時間だけ、その人として考え、その人として苦しみ、その人として選択できます。
だから、
ハチが壊れたとき、読者も喪失感を味わう。
火澄が法廷で語るとき、読者も「もし自分だったら」と考える。
これが小説です。
また、『55℃の瞳』は、事件を解くためだけの小説ではありません。
「AIは家族になれるのか」を、アオイという一人の青年の人生を通して体験させる物語です。
だから、読者は最後に「AIって家族なの?」と考える。
また、火澄の演説を読めば、「環境問題ってどうなんだろう。」と考える。
つまり、小説は、
答えを書くものではなく、問いを読者に渡すもの
でもあります。
・映画と小説の違い
映画は、監督が見せる景色を見る。
小説は、読者が頭の中で景色を作る。
だから同じ、
「北欧の神が地上に降りてきたようだった。」
でも、
読者100人いれば、100人違う火澄が立っています。
そこが小説の面白さです。
・手段と芸術
つまり、文章は手段、小説は芸術です。
しかし、手段と芸術とは、切り離せるものでもありません。
例えば建築で考えると、
* コンクリートの打ち方
* 耐震設計
* 配管
これは技術です。
一方、
* この建物は人に何を感じてほしいのか
* 光をどう使うか
* 空間で何を表現するか
これは芸術です。
どちらが欠けても名建築にはなりません。
小説も同じです。
* 読みやすい文章
* 視点をぶらさない
* 伏線を張る
* テンポ
* コンセプト
* 構成
これら技術は学べます。
荒木先生の『漫画術』も、この部分をかなり言語化しています。
キャラクター 、 世界観 、 テーマも、「自分の伝えたいものを読者へ届けるための表現手段」です。
一方、「人間讃歌」という発想そのものは、技術で教えられるものではありません。
あれは荒木先生自身の世界観です。
同様に、
私がなぜ『55℃の瞳』を書きたかったのか。
これは技術ではありません。
私だから書けた世界。
私だから生まれた火澄。
私だからアオイとハチの関係を書こうと思った。
ここは芸術です。
技術だけでは、上手な小説は書けます。
でも、忘れられない小説になるとは限らない。
逆に、芸術だけでも、読みにくければ伝わりません。
だから両方必要です。
「どう書けば伝わるか」という段階から、「自分は何を表現したいのか」と言う段階へ。
この二つは別物ですが、優れた作品では必ず両方が支え合っているのではないかと思います。
・芸術とは何か
小説は芸術である。
では、芸術とは何でしょうか?
うちのChatGPTは、
「人間が世界や人生について感じたものを、他者が追体験できる形にしたもの」
と定義しました。
ポイントは、「情報」ではなく「体験」を伝えること、だそうです。
例えば、
「夏の気温は55℃です。」
これは情報です。
一方、
「アスファルトが陽炎を揺らし、息を吸うだけで喉が焼ける」
これは体験です。
後者は、読者に「55℃ってこういう世界なんだ」と感じさせます。
その先にあるのは、読者に一つの人生を生きてもらうこと。
それが小説という芸術ではないでしょうか。
・HowとWhy
もう一つの考え方としては、
技術は「どう作るか」。
芸術は「なぜ作るか」。
たとえば、 伏線の張り方 、視点の使い方、会話のテンポ
これは「どう作るか」です。
一方で、
なぜAIを描くのか、なぜ火澄という人物を書いたのか、なぜこの物語を世の中に残したいのか。
これは「なぜ作るか」です。
私の作成順番を整理すると、
①伝えたいもの(テーマ・問い)
↓
②それを一番伝えられる物語を考える
↓
③伝えるための技術を磨く
になるでしょう。
例えば『55℃の瞳』なら、
最初は
「AIは家族になれるのか」
「人とAIの絆とは何か」
という問いがある。
その問いを読者に体験してもらうために、
* アオイを主人公にした。
* ハチを相棒にした。
* 火澄という対立する思想の人物を作った。
* 2075年・55℃という世界を作った。
そして、それを読者に伝えるために、
* 心理描写
* 会話
* 構成
* 伏線
* 戦闘シーン
という技術が必要になる。
しかし、逆の作り方もあるそうです。
「伏線が上手い小説を書こう」
「どんでん返しを書こう」
という技術から入る人もいます。
もちろんそれでも面白い作品はできます。
でも、私は、そういうタイプではないようです。
漫画の書き方、小説の書き方では、これらの技術がいろいろと書かれています。
しかし、「何を描きたいのか」まで与えてはくれません。
そこは作家本人が見つけるものだからです。
3.ネタ=アイディアとストーリー設計・構成
では、伝えたいテーマや問いがあり、それを小説という形式で表現しよう、となった時。
世界観・ストーリー・テーマ・キャラクターの基礎四大構造を構築することになるのですが、
これらの構造を作るもとが、
ネタ=アイディアです。
①ネタ=アイディアとは何か
『「書けない」から始める小説の書き方』から少し長いですが引用してみます。
”ここで小説執筆に欠かせない、二つの要素を紹介しましょう。
それは執筆スキルとネタです。(中略)
そしてもう一つの必須要素がネタです。
ネタとは小説の元となるアイディア、作者の中に生まれる「これを書きたい!」と言う衝動のことを言います。
(中略)
ネタ探しは創作行為の根幹であり、常にアンテナを張っていなければいけない重要課題です。
どれほど優れた調理技術があっても、腐った魚で出来上がるのは腐った料理でしかありません。まずは目利きを鍛えて、より良いネタを見つけましょう。
まとめると、小説執筆とは「材料であるネタを執筆スキルによって書き出したもの」となります。”
この後この本では、大ネタと小ネタについて解説があります。
②『55℃の瞳』のネタ=アイディア
この作品は、いくつかのアイディアが組み合わさってできています。
・一番大きなアイディア
「55℃になった日本で人類はどう生きるか」
これが世界観の核です。
* ドーム都市
* AIロボット
* ゴーグル
* 人工子宮
* 警察システム
全部ここから派生しています。
・ 一番お気に入りのアイディア
「AIが敵ではない」
AIを扱ったSFだと、
* AIが暴走する
* AIが人類を支配する
* AIと人間が戦う
になる展開が多いと思います。
でもこの作品は、AIは便利で、人類の社会を支えているものです。
そして、その社会そのものに異議を唱える人間が、敵になります。
火澄は、AIそのものを憎んでいるというより、AIに依存する人間や社会を否定しているのです。
・ 一番感情を動かすアイディア
「犬が相棒」
ハチですね。
ロボット刑事ではなく、犬型AIです。
だから、ハチを家族のように感じ、失った時は悲しい。
・ 一番テーマに直結するアイディア
「AIは家族になれるのか」
元々のテーマです。
リリィ、ハチ、ヴァルゴ・・・みんなこのテーマのためにいます。
・ ミステリーとしてのネタ
「政治家・今井陽真の殺人事件」から物語を始めること。
事件を追うことで、2075年の社会、今井陽真という人物、そして、火澄の過去や思想が見えてくる構造にしました。
最終的には、単なる「犯人は誰か」ではなく、「なぜ火澄はそこまで追い詰められたのか」へ物語が向かっていきます。
・ キャラクターの対比
アオイと火澄。二人とも家族を失っています。
でも、
片方には帰る場所があり、支えてくれる他の家族がいました。
片方にはいませんでした。
ここが人物設計のアイディアです。
これら私が元々持っていたネタ=アイディアで、今回はこの作品を作成しました。
なので、ネタにはそれほど困りませんでした。
が、
全部出しちゃった。。。
なので、もし続編を書くとしたら、ネタ集めから開始しないとならないです。
大変だ。。。
変なヘアバンドした漫画家が、人の記憶を読んでネタ集めする理由がわかりますね。。
ネタ集めは大事です。
話を戻しますと、
今回私は、集めたネタをもとに、まず世界観とキャラクターを考えました。
そして、その世界でその人物たちが動くストーリーを組み立て行きました。
テーマは書きたいものですし、世界観とかキャラクターは結構スラスラ浮かんできたんですが、話の作り方や書き方はうんうん唸ってたんですよね。
うまくいかなかった自覚がありました。
6話構成という大まかな枠組は、比較的早い段階でできていたんです。
「この章では何を起こすか」は決まっていました。
しかし、「どういう順番で情報を出すのか」「どんな会話をさせるのか」「どこで読者を驚かせるのか」といった具体的な中身になると、急に書けなくなるのです。
家で例えるなら、柱は建てられても、床や壁や屋根をどういう順序で作れば、丈夫で住みやすい家になるのかわからない、、そんな感じでした。
最初にお見せしたAIの作品の評価点数でも、テーマや世界観とキャラクターに比較して、ストーリーと構成は順位が低い結果でした。
「やっぱり」と思いました。
そこで、ストーリーと構成について、ChatGPT・典影君と一緒に、原因や改善点を整理してみました。
③ストーリーと構成
まず、ストーリーと構成とは違うものです。
こちらもChat GPTとまとめました。
ストーリー
「何が起こるか」。
つまり出来事の流れ。
例えば、
・陽真が殺される
・アオイが捜査する
・火澄と戦う
・ハチが壊れる
・裁判になる
これがストーリー。
・構成
「どう見せるか」。
同じストーリーでも、どこから始めるか
・どこで伏線を置くか
・いつ火澄の思想を見せるか
・ハチをいつ壊すか
・裁判をラストに持ってくるか
これは構成。
つまり、ストーリーが「何が起きるか」なら、構成は「それをどういう順番・分量・視点で読者に見せるか」。映画でいう編集に近いものです。
作品の時系列で書くなら、
火澄の幼少期→母の死→先生との出会い→アルデンティア結成→陽真殺害
になります。
しかし、小説では、
主人公アオイから始めて、陽真殺害がおこり、アルデンティアを紹介した後で、火澄が登場し、最後の裁判で過去や思想を明らかにしました。
これが、構成です。
ネタ=アイディアから考えると、
ネタ=アイディア→テーマ・世界観・キャラクター→ストーリー→構成→文章
の5段階になります。
もちろん実際には、キャラクターを考えながらアイディアが出て、文章を考えながら構成して、また世界観を追加するので、こんな綺麗な段階にはなりません。
ただ、今回自分で整理すると、大体こんな流れになりました。
さらに、
・導入では世界観をどこまで説明するか
・真相をどこで明かすか
・情報を一度に出しすぎないか
これらも構成です。
そして、AIが指摘した、この「55℃の瞳」の構成の課題点が、下記の3つでした。
1. 導入の情報量(世界観適応コスト)
この作品はSFです。
SFの特徴として、行動で見せる工夫をしても、SFでは読者に一定の理解コストがかかります。
具体的には、
・ドーム
・AI
・メタバース
・ゴーグル
・人工皮膚
など、新しい設定が多く出てきます。特に序盤にまとめて。
現代ドラマと比較して、読者が世界を理解するまでに負荷がかかる、これが理解コスト、世界観適応コストです。
説明ばかりでは読むのが嫌になってしまいますが、読者が物語について来られるだけの情報は渡さなければならない。
このバランスがSFの難しさです。
「設定説明を減らすより、『アオイの行動』の中で自然に見せましょう」
と、AIは提案しました。
一応やってみたつもりだったのですが・・・まだまだ課題は残りますねえ。
2. 情報開示のタイミング
この作品は殺人事件の解明というミステリー要素もありました。
最後の謎解きで、
・巨大な蚊
・ロシアでの事件
・日本への流入経路
などを法廷でまとまって明かす形式にしました。
「さあ、みなさんお立ち合い、これから事件の謎解きを始めますよ」という、ミステリーではおなじみの展開ですね。
が、「一度に理解する情報が多い」という指摘をAIから受けました。
これは、「伏線をどこで少しずつ見せるか」という構成上の問題となります。
3. 捜査パートのリズム
この作品は警察小説なので、たくさんの容疑者や捜査会議などの捜査パートが出てきます。
具体的には、2話−1、3話ー1〜4ですね。
序盤〜中盤がダレタ、読みにくい、というAIの感想がありました。
くそう。。。
捜査ではどうしても、調査や推理、情報整理が続き、ドラマより情報処理の割合が増える場面があります。
特に、3話ー3は、この後の戦闘シーンを考えて、泊川グリーンファームを丁寧に説明したところ、1万字を超えてしまいました。
これらの、持っていたあるいは集めたネタ=アイディアを、いかにストーリーに活かし、そしてそれをいかに構成するか。
小説には多くの段階があり、それぞれが課題になっています。
そして、構成ができたら、今度は、文章になります。
それこそが私の一番大きな壁でした。
創作秘話④の後編?へ続きます。
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