#1218 映画論47|北野映画ランキング(前編)~ 20位→11位~
映画論ですが、これまでここ半年以上、一心不乱に北野映画を紹介してきて、最新作のBroken Rageまで全20作を紹介した節目で、個人的な北野映画ランキングを作ってみたいと思い、折角なので前編(20位→11位)と、後編(10位→1位)で紹介して見たいと思います。
北野映画とは?

まず、北野映画について考えてみましょう。
何故僕は北野映画が好きなのかを言語化したいと思います。
1. 静と動が織りなす独特な暴力美学
まずはこれでしょう。
北野映画の20作のほとんどで「暴力」が非常に象徴的に描かれます。
突然の爆発的な暴力と、それに先立つ静寂の対比が強烈な印象を与えます。血生臭くても美しさを感じさせるその描写は、欧米の映画評論家から「バイオレンスの詩人」と称されているようです。
たとえば『ソナチネ』や『アウトレイジ』シリーズでは、セリフ少なめで淡々とした展開の中に突如として暴力が炸裂しますが、その辺が魅力だったりします。
2. 寡黙なキャラクターと余白の演出
登場人物の多くは寡黙で、語らずに「間」や行動で感情を表します。
セリフで説明しないことで、観客に深い余韻や解釈の余地を残す手法は、日本の伝統的な芸能にも通じる演出ですが、北野映画はこれがメチャクチャ多く「言わなくても、分かれよ」という演出が多いですね。
このスタイルの最たるものが『あの夏、いちばん静かな海。』ですが、『HANA-BI』も言葉ではなく風景や表情で物語が進みます。
3. 詩的で美しい映像表現
北野映画の特徴は、計算され尽くした映像美にもあります。
海、空、花火、雪などの自然描写がしばしば登場し、暴力的な世界観との対比で一層印象深くなります。カメラワークはシンプルながら構図が非常に美しく、まるで詩のような静けさと余韻があります。
これはたけし自身が画家としても活動しており、その絵画の感性を映画に投影しているからだとも言われています。
特に『Dolls』とかはそのセンスが爆発していました。
そんな北野映画のBEST20を紹介していきましょう。
あくまで私の所感ですので、悪しからず!
北野映画ランキング20位→11位
20位 Broken Rage(2025)

一番最新作をこの順位に置いてしまったのは、やはり内容が浅いんです。
1時間ポッキリで、尚且つ「シリアス編」「ギャグ編」を30分ずつなので正味30分、30分では「ネズミの殺し屋になった経緯」なども何も分からず、作品の深みを理解できずに終わってしまったので、ここに置かざるを得ませんでした。
しかしながら、今回の作品は劇場ではなく「サブスク配信」を意識して作り込んだという話ですし、この年齢とキャリアで、こうして新たな可能性にチャレンジするという、たけしの姿勢には改めてリスペクトですね。
中村獅童が前作の「首」に続いて、いい演技してましたね。
19位 TAKESHIS’(2005)

この作品はとにかく難解で、現実と妄想の世界が最後までどっちがどっちなのかが分からなくて、最後まで見終わった後に「よく分からなかったから、もう一回見てみよう」と思えなかったので、この順位としました。
京野ことみがとても奇麗だった、という印象が強いですね。身体を張る演技も印象的でした。
あとはたけしとお互いをディスり合ってた美輪明宏でしょう笑
18位 みんな〜やってるか!(1995)

この作品は「まだ終わらないのか…」と思ってしまった時点で、この位置に置かざるを得ないですね笑
もう一周して、ある意味の視点で楽しむことはできるのですが、それでもなかなか見ていてキツかった映画です。
とにかくセスナからが長く、しんどかったです。あのヤクザの下りも長い、長い笑
ダンカンもですが、ガダルカナル・タカもなかなかキツい役だったので、たけし軍団は大変なんだなと思ったものでした笑
17位 監督・ばんざい!(2007)

ランキングを作っていて思ってしまったのですが、僕は北野映画で「笑い」を求めていないんですね。
なので、「みんな~やってるか!」以来のコメディ作品である、この「監督・ばんざい!」も、正直そんなに楽しめなかった記憶があります。
特に最後のSFはなかなか辛く、何度も時計を見てしまいましたね笑
ただ内田有紀がメチャクチャ奇麗だったのは深く印象に残っていますが、それくらいですね・・・
16位 アキレスと亀(2008)

2000年代後半の芸術3部作と言われた「TAKESHIS'」「監督・ばんざい!」、そして本作「アキレスと亀」は、正直そこまでグッと来なかったのが正直なところです。
アキレスと亀は「少年時代」「青年時代」「現在」と時代が分かれていますが、青年時代の柳ユーレイが、年取ってたけしになるというのがやはり違和感でしたし、娘にボロカス言われても言い返せない、バイオレンス色の無いたけしに物足りなさを感じていたのもあります
(アートに対しては狂ってるのですが…)
やはり娘を「うるせー、コノヤロー!」みたいな感じでぶん殴るたけしのほうが僕は好きですね笑
15位 首(2023)

ボーイズ・ラブ&スプラッターという感じで、2つの意味でグロい話題作の「首」ですが、正直あまり印象に残っていないのでこの順位です。
信長(加瀬亮)がファンキー過ぎたので、あまり秀吉(たけし)の印象が無いのも原因かも知れません。
故に、また改めて見たら評価は上がるかも知れませんね。
とにかくどいつもこいつも狂っている、そんな作品でしたね。
14位 龍三と七人の子分たち(2015)

この作品はコメディなのか、任侠ものなのかカテゴライズに迷う作品ではありますが、個人的にはただのコメディではないと思っています。中尾彬の遺体の扱いはギャグでしたが・・・
ここまで老人たちが主役と言う作品も珍しい気がしますし、集客のために人気俳優やジャニ…もといSTARTO ENTERTAINMENTの俳優を使わず、「観客に媚びない姿勢」を打ち出したのは流石でした。
ただ、警察のたけしの存在意義は不明でしたが・・・笑
13位 アウトレイジ最終章(2017)

アウトレイジはこのあと「本家」「ビヨンド」も紹介するので、最終章はこの辺で紹介しておきましょう。
もちろんバイオレンスで面白かったですが、やはりもうやりつくした感がありましたね。
無理やりピエールがやらかして火種を作って大友を暴れさせるという展開もちょっと強引に感じましたし、大杉連もちょっと無駄遣い感がありました。もっと強い敵が出てくれば違ったんでしょうが、大友が最初っから強者サイドにいたのも、捲土重来を感じられなかったものあるかもですね。
とは言え、面白いので、シリーズを見ている人は是非最後まで見たい作品です。
12位 座頭市(2003)

北野映画で一番ヒットして、興行収入が多かったのが本作ですね。
この頃はもうたけしは監督して不動の地位を得ていて、更には過去にも大人気だった座頭市のリメイクということで注目を集めたり、色々な要因があっての大ヒットだと思っていますが、僕は時代劇がそんな得意じゃないのでこの順位にしてしまいました。
ただ、北野映画の特徴であるヤクザが銃で人を殺しまくるという設定が、按摩師が仕込み杖で人を殺しまくる設定に変わっただけなので、バイオレンスで非常に見ごたえはありましたね。
ラストシーンの「独自の解釈」もなかなか見ごたえがありました。
11位 キッズ・リターン(1996)

日本を代表する青春映画で僕の肌感ですが、世間的にこの映画を北野映画のベストに挙げる人も多いと思っていますし、最初にすべてのランキングを決めた時に、元々本作はBEST10にいたのですが・・・
その時に11位に決めた作品の解説を書いているうちに、「これはBEST10に入れたい」と思ってしまい…消去法でこの作品がこの順位になってしまいました。
もうラストシーンとか超有名ですね。
金子賢と安藤忠信の名を世間に知らしめた、超・青春作ですね。
一切恋愛を描かず、主人公の2人はもちろん、芸人を目指す友人や、ウエイトレスを口説く秤のセールスマンの友人などの青春も書いたのが良かったし、個人的には恋の要素が一切ないのも良かった。That's 青春ですね。
まとめ
そんな感じで、20位~16位くらいまではすんなり決まったのですが笑
残りは結構迷いながらセレクトしました、
まだ紹介していない作品は下記のとおりです。
・ その男、凶暴につき(1989)
・ 3-4x10月(1990)
・ あの夏、いちばん静かな海。(1991)
・ ソナチネ(1993)
・ HANA-BI(1998)
・ 菊次郎の夏(1999)
・ BROTHER(2001)
・ Dolls(2002)
・ アウトレイジ(2010)
・ アウトレイジビヨンド(2012)
それでは後半もお楽しみに!
