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私の半生 ― 社会人1年目 意気揚々と乗り込んだ中国で、ヘッドハンティング!?

大学卒業後、
日本で3か月研修をして中国に渡った。

博多から船で中国青島へ入った。

当時の青島中心部

渡された名刺の肩書は副総経理(副社長)だった。

うれしかった。
自分は副社長として認められたのだと思った。

しかし、実際は工場住み込みだった。

今は知っている。
普通は副社長待遇なら、
高級ホテルやアパートに長期滞在でもおかしくない。
しかし私は新入社員。
そんなことは分からなかった。

結局、名前だけだったのだ。


仕事が始まった。
営業、技術、苦情処理、工場管理、倉庫管理、輸送、労務管理。
全てやらなければならなかった。

もちろん実際にはできない。

営業、技術、苦情処理、工場管理で精いっぱいだった。

工場は山東省青島にあった。
しかし当時の青島はまだまだ田舎だった。

工員のレベルは著しく低い。
・業務時間は守らない
・備品盗難
・徒党を組んで会社に反抗する
そんなことが日常茶飯事だった。


そしてある日、
酔っぱらって出勤してきた工員を注意した。
社則に従い罰金を課した。

彼らの月給は一万円相当。
罰金は三百円相当だった。


しばらくして、
夜勤班長だった彼が私の部屋にやって来た。

機械が壊れたので見に来てほしいという。
心を入れ替えたのだろう。

そう思い、私は現場へ向かった。

いきなり髪を掴まれ引き回された。
「この小日本鬼子がぁ~!!」

「小日本鬼子」(シャオリーベングイズ)とは、
大東亜戦争中に中国の人が、
日本人を蔑視するために使用した言葉だ。

反撃はできなかった。
しかし、とっさに距離を取り、
体勢は立て直した。

そこへ他の現地人工員たちがやって来た。

「終わった。袋叩きにされる。」
そう思った。

しかし、彼らは止めに来たのだった。

後日、日本から幹部が来た。
私は彼の解雇を進言した。

しかし返ってきた言葉は違った。
「地域との関係も大切だ」

彼は慰留された。


そして一年ほど経った頃。
今度は日本の親会社と処遇についてもめた。

海外駐在手当がない。

会社の回答は、
「日本の住宅手当二万円を継続している。それが海外駐在手当だ」
だった。

海外医療保険がない。

会社の回答は、
「会社は負担しない」
だった。

結構な業務負荷。
精神的ストレス。

そして処遇。

会社への不満は高まった。


そんな頃だった。

取引先の社長と食事をした。
「中国の生活はどうですか?」

そう聞かれた私は、不満をぶちまけた。

社長は笑いながら言った。
「もう、うちに来ればいい。」

「中国駐在員を探しているんだ。」
「君ならうってつけだ。」

「経理もできる。技術も分かる。」
「工場も見ている。」
「君が営業もできることは私自身が知っている。」

「給料も上げてやるよ。」

今思えば、お世辞も入っていただろう。

しかし当時の私は真に受けた。
「私は認められている。
できる人間だから声がかかったのだ。」

そして、
これは、世に言う、
「ヘッドハンティング」
ではないか。

そう思った。

その瞬間、
社会人一年目の私は、
自分の未来に根拠のない自信を持ったのだった。

今回の様に、
このままどんどんステップアップの機会が来るはずだ。

そして、最後は起業して、社長になろう。
なれるはずだ。

そんなことまで考えていた。

そして私は、すぐに辞表を提出した。

世界は広く、自分には無限の可能性があるように思えた。

この転職が、その後の人生を大きく変えることになるとは、まだ知らなかった。

(続く)



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