逃げる人を見て、私は逃げない人になろうと思った
歯科衛生士になって、何度もこんな場面を見てきました。
物が無くなる、誰かが物を捨ててしまう、落とす、ミスが起きる。
院長が激怒、職場の雰囲気は最悪、泣き始める子、、、
その瞬間、誰も目を合わせなくなる。
「私は知りません。」
「聞いていません。」
「私じゃありません。」
そんな言葉が、当たり前のように飛び交う職場でした。
家族経営の歯医者だとこんなことが当たり前にあります。
実際夫に話すと人間関係はひかれることばかりです、泣
決まって責任の行き先がなくなると、最後に残るのは、黙って仕事をしている人でした。
私はその姿を何度も見てきました。
そして気づけば、自分もその一人になっていました。
正直に言うと、悔しかったです。
「なんで私ばかり。」
そう思った日は、一度や二度ではありません。
仕事が終わって家に帰っても、その日の出来事を思い返してしまう。
ご飯を食べながらため息をついて、お風呂でも考えて、布団に入っても眠れない。
そんな夜もありました。
でも、不思議だったんです。
責任から逃げた人は、その日のうちに笑って帰っていく。
一方で、真面目な人ほど自分を責めてしまう。
その光景を何度も見て、「これってすごく苦しい働き方だな」と思いました。
日本舞踊では、一つの舞台にも責任があります。
舞台で一人が立ち位置を間違えれば、全体の流れが崩れてしまいます。
だから先生は、失敗を責める前にこう言います。
「どうしたら次はできるか、一緒に考えましょう。」
誰か一人に責任を押しつけることはありません。
だからこそ、「自分の役目を果たそう」という空気が自然と生まれるんです。
私はこの世界を20年見てきたからこそ、職場との違いに戸惑うことがありました。
そんな私が少しずつ意識するようになったことがあります。
「逃げないこと」と「全部抱え込むこと」は違う、ということです。
以前の私は、「私がやります」と何でも引き受けていました。
頼まれた仕事も。
誰かが忘れた仕事も。
気づいた人がやればいいと思っていました。
でも、それを続けるほど心は疲れていきました。
だから今は、一度だけ立ち止まるようにしています。
「これは本当に私がやるべきことかな。」
その一言を心の中で確認するだけでも、抱え込む量はずいぶん変わりました。
そして、自分が担当する仕事だけは、最後まで向き合う。
もしミスをしたら、「私です。すみません。」と伝える。
怖いです。
勇気もいります。
でも、その一言を言える人は、時間がかかっても必ず信頼されると私は思っています。
実際、私が尊敬する先輩や先生は、誰かのせいにする人ではありませんでした。
失敗した時ほど前に立ち、「次はこうしよう」と話していました。
その姿を見て、「こういう大人になりたい」と思うようになりました。
もし今、責任逃れをする人が近くにいて苦しんでいるなら、自分まで同じにならなくて大丈夫です。
逃げる人を変えることは難しい。
でも、自分がどんな人でいたいかは選べます。
今日一日だけでも、自分の仕事に誠実でいる。
困っている人がいたら一言声をかける。
間違えたら素直に認める。
そんな小さな積み重ねが、あとから自分を支えてくれるんだと思います。
すぐに評価されることはないかもしれません。
それでも、数年後に振り返ると、「あの時逃げなかった自分がいてよかった」と思える日がきっと来ると思います。
私はそう信じています。
ただ、現実の職場では、誠実に働いている人ほど苦しくなる場面があります。
問題が起きた瞬間、「私じゃありません」。
その一言で空気が変わり、責任感がある人だけが静かに疲れていく。
私も、その空気の中で何度も心が折れそうになりました。
次の章では、そんな「私じゃありません」が飛び交う職場で働きながら感じたこと、そして自分の心を守るために少しずつ変えてきた考え方を、お話ししたいと思います。
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