【禅語タロット・第3回】女帝×「啐啄同時」── 殻は、中から合図があってから
こんにちは、りゅうぎんです。
タロットの大アルカナ22枚に、禅の言葉をひとつずつ重ねていくこの連載。第0回で「愚者」が荷物を手放し、第1回で「魔術師」が自分の人生の主人になり、第2回で「女教皇」が、頭ではなく体で分かることの大切さを教えてくれました。
番号「3」で旅人が出会うのは、実りの中でくつろぐ女性──「女帝(The Empress)」です。
今日は、「育てる」ということのお話です。がんばって育てることと、実るのを待つこと。そのあいだにある、絶妙な「間合い」の話です。
麦畑の中で、なぜ彼女は働いていないのか
ウェイト版の「女帝」の絵柄を、眺めてみてください。

ゆったりした白い衣に、ざくろの模様。十二の星の冠をかぶった女性が、ふかふかのクッションに、実にくつろいで座っています。足元の盾には、金星(ヴィーナス)のしるし。愛と豊かさの星です。
まわりを見ると、これがまた豊かなのです。背後には深い森と、流れ落ちる滝。そして足元には、たわわに実った金色の麦畑が広がっています。
ここで、ひとつ気づくことがあります。彼女は、働いていないのです。
鍬も持たず、水やりもせず、麦の穂を引っぱってもいません。ただ、実りのまんなかに、どっしりと座っている。だからこそ、きっと「それだから」──畑は豊かに実っているのです。
自分から追い求める豊かさではありません。受け取る豊かさです。信じる豊かさと言ってもいいです。
カードの意味は「豊かさ」「実り」「母性」「育てる愛情」。
だから、女帝さんは、豊かさを「作る」人ではありません。豊かさが育つのを邪魔しない人。育つ力を信じて、どっしり構えていられる人。それがこのカードの正位置の姿です。そして逆位置には「過保護」という意味もあります。この点が、今日のお話の入り口になります。
ひなが中からつつく音と、親鳥が外からつつく音
この女帝に、私は「啐啄同時(そったくどうじ)」という禅語を重ねてみます。
出どころは『碧巌録(へきがんろく)』という禅の書物、その第十六則。鏡清(きょうしょう)禅師の問答から生まれた言葉です。
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