『VIVANT』第16話感想。話は単純になったのに、妙なところだけ引っかかる(第2シーズン6話)
※この記事は『VIVANT』第16話(第2シーズン第6話)のネタバレを含みます。
第16話を見ていて、普通に吹き出した。
堺雅人が、また増えた。
いや、「乃木に似ている」とは聞いていたけど、本当に同じ顔で出してくるとは思わないだろ。
それも、相当にいかれている役どころである。
5年前、野崎の部下だったリュウ。
前回まで「死んだ部下」として扱われていたのだが、今回その死体写真が出てきた。
ところが、それが妙に雑な合成写真っぽく見えた。
これ絶対、生きてるだろ。
そう思って記事に書こうかと思っていたら、その後に普通に本人が出てきた。
生きてたよ! 早いよ!
しかも生きていただけではない。野崎への感情が相当に重い。
また愛が始まった。
以前もチョッキー周辺で、妙に重い感情を描いていた気がする。
何か対比させたいのだろうか。
それともVIVANTは、こういう強烈な愛情を物語の中に入れるのが好きなのだろうか。
今回は堺雅人の演技も相まって、見ていて少しゾワッとした。褒め言葉である。
役として気持ち悪いくらいに濃い。
そのインパクトが強すぎて、しばらく他の話が頭に入ってこなかった。
ただ、第16話そのものは情報量が多かった割に、私はそこまで複雑になったとは感じなかった。
むしろ逆で、今まで広がっていた話が、分かりやすい形へ収束してきたように見える。
野崎の過去が分かった。ついでに部下ガチャが酷すぎる
今回、5年前の野崎が中国で何をしていたのかがかなり見えた。
北朝鮮の問題を追っていたのは前回も話していたけども。
その調査過程で、チョウがスパイではないかという疑惑が野崎の中ではあって。
だからこそ、リュウを信頼していたと。
そのリュウは信頼されていたから、なぜか野崎を愛するようになったと。
それが原因なのか、野崎にいいところ見せようとして任務失敗して、リュウが死んだということだったのね。
なるほど。
…そーなんだー。
もっと複雑な何かがあるのかと思っていたので、私は少し肩透かしだった。
その後、野崎がチョウと再会して、シンシーが核融合の技術を手に入れようとしている的な話を教えてもらったので、野崎がシンシーに近づいたと。
もちろん核融合技術は国家レベルの重要案件だろうし、中国に独占されれば世界のエネルギー事情にも影響する。それを日本が阻止しようとするのも分かる。
でも、そうなると今度は別の疑問が出てくる。
西側諸国は何してんのよ。
アメリカをはじめ、他の国も黙って見ている規模の話ではないと思う。
その辺まで今後広がるのかもしれないが、現時点では「結局、核融合技術を巡るスパイ戦だったのか」という印象が強い。
少し戻って、野崎の中国時代の話。
各国のスパイから24時間監視されていたらしい。
そりゃそうだろう。
というか、野崎は目立ちすぎる。背はでかいし、顔立ちも周囲とは違う。中国の街中にいても、どう考えても見つけやすい。
スパイとしてどうなんだ。
そんな野崎の部下が、リュウとチョウだった。
野崎はチョウを怪しんでいた。一方でリュウは信用していた。
その後チョウはシンシー側だったのが分かったわけで。
お。野崎、ちゃんと見抜いてるじゃん。
でも、リュウもシンシーでした。というね。
部下ガチャが酷すぎる。
野崎の周り、敵しかいない。
しかも公安側もなかなか酷い。
シンシーのスパイ2人を野崎の周りに入り込ませてる所もそうだけど
監視カメラを仕掛けられていることに気づきながら、見つけられないから放置。
情報が漏れていることもある程度分かった上で動いているとかさ。
大丈夫なのか日本の公安。
さらに、捕まったリュウを救うために野崎は傭兵まで雇っている。
そんな派手なことをしたら、「日本側が動きました」と余計にバレそうな気がする。
今回ずっと感じたのだけど、頭のいい人たちが高度な諜報戦をやっているはずなのに、ところどころ妙に雑なのである。
ただ、VIVANTを見ていると、そこを単純に「雑だな」で終われない。
ここまで露骨なら、逆に何かを炙り出すためにわざとやっているのではないか、と疑いたくなる。
リュウとの再会もそうだった。
死んだと思っていたリュウが目の前に現れ、シンシーの人間だってなったとき、野崎は「いつからだ」と聞いている。
普通に見れば、そこで初めてリュウがシンシー側だったと知ったように見える。
でも、それすら相手から情報を引き出すための質問だったと言われても、VIVANTならありそうなので困る。
野崎が本当に少しポンコツなのか、それとも全部計算しているのか。
その底がまだ読めない。
そしてここで、前回までの私の予想も少し答え合わせされた。
前回、野崎が妙に目立つ行動を取っている理由について、私は「自分にシンシーの視線を集め、その間に別班を動かすための陽動ではないか」と考えていた。
これは外れた。
ただし、野崎が何かを別班へ伝えようとしているのではないか、という部分は合っていた。
前回出てきた「126,000,000」という妙に具体的な数字も、どう考えても何かのメッセージだろうと思っていた。
私は16進数にしてみたりもした。
全然違った。
今回、新たに「160,000,000」という数字が出てきた。
126,000,000と160,000,000。この二つの数字それぞれにπを掛けると二つの数値が出て、それが別班員たちの監禁場所を示す座標になる。
そんな解き方かよ。今回見ないと分かるわけねーじゃん。
でも、少なくとも「この数字は別班へ何かを伝えるためのもの」という予想は当たっていた。
さらに前回、シンシー側も野崎が何かを伝えようとしていると察した上で、あえて泳がせているのではないかとも書いていた。
こちらも方向としては近かったらしい。
つまり、陽動説は外れた。でも、野崎が別班へ情報を送ろうとしていて、シンシー側もそれを読んでいたという部分はだいたい合っていた。
当たったような、外れたような、何とも微妙な答え合わせである。
そして、もっと気になるのが、その監禁場所を最初に誰が調べたのかということだ。
野崎は電光掲示板に表示された情報から場所を知った。
誰かが別班員たちの監禁場所を調べ、野崎へ知らせている。
私は今のところ、ドラムが場所の特定に絡んでいるのではないかと思っている。
ただし、現地で場所を調べた人間と、電光掲示板へ情報を出した人間が同じとは限らない。
それにしても、公共の電光掲示板で秘密の情報を知らせるというのも相当に派手である。
そりゃシンシーにも怪しまれるだろ。
そのうえ野崎は、二つの巨大な数字を使って別班へ座標を伝える。
実際、乃木たちは暗号に気づき、ブルーウォーカーに周辺の映像などをハッキングさせて監禁場所を特定した。
ところが、その時には別班員たちはすでに移送されるところだったと。
移送前にギリギリ間に合った感じなのか…。
ここもまた、全部知られること、見られることを前提にした何かなのか、それとも単純に作戦が派手すぎるのか。
今後の野崎の動きで見えてきそうな気がする。
乃木側も動き始めた。でもシンシーを舐めすぎでは
一方、乃木たちも公安と組んで動き始めた。
公安内部にいるシンシー側の人間も、ある程度特定できているようだった。
そこで当然、「そいつを捕まえたらシンシーにバレる」という話になる。
捕まえれば定期連絡が途切れる。
ではどうするのか。
別班が出した答えが、「AIを使って電話を偽装すればいい」だった。
いやいや。
シンシーを舐めすぎだろ。
ここまで、シンシーは日本の公安内部にまで潜り込み、野崎の行動も監視し、別班へのメッセージまで見抜いている巨大な諜報組織として描かれている。
その相手に、AIで声や映像を偽装して電話させれば大丈夫というのは、さすがに子供だましに見える。
もちろん最近のAIなら、声や映像をかなり似せることはできる。
でも相手はシンシーである。
通信経路や話し方、行動パターン、周囲の状況まで確認していてもおかしくない。
そんな組織が、AI電話一本で簡単に騙されるものなのか。
ここも後で「実はそれすら罠でした」となる可能性はあるが、今のところは雑に見える。
現在の乃木側は、公安内部のシンシースパイを処理しつつ、移送された別班員を追い、さらに野崎をどうするかという状態になっている。
別班員については、最後にブルーウォーカーが映像を追って移送先を特定したという所までは行ったけど…
ただ正直なところ、私は別班員が全員助かるかどうかという話を、以前ほど気にしなくなってきた。
物語の中心が、それより大きなところへ移ってきたからである。
今回、公安と別班が手を組む中で、「国家のためなら部下を犠牲にすることもある」という判断も、それなりに一致していた。
そうなると、拘束されている別班員が全員無事に帰ってくる展開は、少し期待しづらくなった。
私は一人だけ生き残るような形になるのでは、と考えているが…。
あれだけ拷問を受け、さらに別の場所へ移送された。
全員救出より、誰か一人だけ戻るような展開の方が今のところはありそうに見える。
そして何より気になるのは野崎である。
正体はシンシー側にだいぶ読まれている。
リュウも野崎が何をしているのか把握している。
ここからどうやって生き延びるのか。
リュウが野崎へ強い感情を持っていることが、逆に命綱になる可能性はある。
すぐ殺されない理由にはなりそうだ。
ただ、その先にどうやって乃木たちと合流するのかまでは、まだ見えてこない。
結局、一番怪しいのはフローライトだと思う
第16話を見て、これまで広がっていた話の軸はだいぶ見えた。
中国と日本が核融合技術を巡って争っている。
思っていたより、構図そのものはシンプルだった。
ただ、一つだけ大きく引っかかるものが残っている。
テントである。
自殺したと思われていた核融合の科学者が生きていて、そこからテントの情報が出てきた。
なぜ核融合の科学者とテントがつながるのか。
ここまで来ると、私は一番怪しいのはフローライトだと思う。
シーズン1で、テントがあれだけ重要視していた資源である。
前作であれだけ重要なものとして扱ったフローライトを、今作で再び使わないのだろうか。
もちろん、現実の核融合技術にフローライトがそのまま必須だという話ではない。
あくまでVIVANTの世界の話だ。
ただ、前作で重要資源としてフローライトが出てきた。
今作では核融合という巨大なエネルギー技術が出てきた。
そして、その核融合科学者とテントがつながった。
この流れなら、「テントが持っていた何かが核融合研究に必要で、それがフローライトなのではないか」と考えるのが一番自然に思える。
そうなると、次に問題になるのがジャミーンである。
ベキ亡き後、テントへつながる人物としてジャミーンが必要なのか。
ジャミーン本人や家族の過去に、科学者との接点があるのか。
あるいは、核融合の科学者につながる何かを知っているのか。
ここは今のところ材料が少ない。
以前、私は「ドラムがジャミーンを拉致するのではないか」と予想していた。
……回を追うごとに遠ざかっている。
一方で、「ドラムが別班員の監禁場所特定に絡んでいるのでは」という新しい予想は残しておきたい。
以前の予想が一つ消えるたびに、新しい予想が増えていく。
今回も、野崎の陽動説は外れた。
でも「126,000,000はメッセージ」「野崎は別班へ情報を伝えようとしている」「シンシー側もそれを察して泳がせている」という辺りは、そこそこ近かった。
そして今、一番気になっているのは、核融合とテントをつなぐものが本当にフローライトなのかということだ。
話そのものはだいぶ整理された。
だからこそ、そこへわざわざテントを絡ませてきた理由が気になる。
そして、その答えがジャミーンへどうつながるのか。
次回は野崎の生存ルートと、移送された別班員の行方も追うことになるだろう。
……いや、その前に。
堺雅人がまた増えた件を、まだ処理しきれていない。
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