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【R18】妻を差し出した夫の独白①

※こちらも併せて読むと楽しめると思います。


~妻の肌に残る、見知らぬ「指痕」~

※18歳以上推奨です。登場人物はすべて成人です。
 この作品はフィクションです。実在の人物・出来事とは関係ありません。

 俺と妻の聡美(さとみ)は互いのすべてを知り尽くしている。
 ずっと、そう信じて疑わなかった。

 妻の聡美は俺の初恋相手だった。
 小学生の時から知っているけど、好きになったのは中学生の時だ。
 なかなか告白できなくて卒業の時にようやく告白した。
 そして、高校生になってからは恋人同士になれた。
 それからもう……十年の歳月が流れている。

 俺も聡美も二十六歳になった。
 彼女は、昔と変わらず流行りの派手なメイクはしない。
 今でも清純で、どこか素朴さを残した女性だ。

「お帰り、和也(かずや)」

 俺が家に帰ると、そう名前を呼んで、いつもの笑顔で迎えてくれる。
 そのどこかおっとりとした笑顔も魅力的だ。

 ちなみに、お世辞にもモデル体型とは言えない。
 ただ、抱きしめたときに柔らかく沈み込む。
 そんな小柄で肉感的な身体。
 それが彼女を独り占めできる夫である俺の自慢だった。

 学生時代からずっと、俺たちは互いだけを求め合ってきた。
 初めての時からずっと、少しずつ同じ経験を重ねてきた。
 そうやって二人の愛し方が決まっていった。
 俺たち二人の夜はいつも優しく、満ち足りたものだった。

 そのはずだった。

 異変に気づいたのは、ある初夏の夜のこと。
 風呂上がりの聡美が、脱衣所から寝室へと戻ってきたときだった。

 何気なくバスタオルから覗く、彼女の白い太ももに目が留まる。

 バクンッ。

 そんな風に、心臓が嫌な音を立てて大きく鼓動したように感じた。

 その太ももの内側、生白い柔肌の上に、くっきりと残る赤い痕。
 それは指痕(ゆびあと)に見えた。
 大人の男が、強い力でそこを掴み、強引に抉ったような……
 生々しい指の痕。

 俺の頭の中は、一瞬で真っ白になった。

 ここ数週間、その場所に俺は触れていない。
 何より、そんな乱暴な愛撫の仕方を俺は一度だってしたことがない。

(ちょっと待て……)

 見間違いかもしれない。
 どこかに強くぶつけただけかもしれない。

 そう思いたかった。

(ただの痣(あざ)に違いない)

 必死で自分に言い聞かせようとした。

 それでも……

「聡美、それ……どうしたんだ?」

 震える声を抑えながら問い詰めた瞬間――

 聡美は目に見えて激しく狼狽した。

「――っ!?」

 彼女は崩れるように、床の上に座り込んだ。
 そして、顔はまたたく間に青ざめ――
 瞳からボロボロと涙が溢れ出す。
 その動揺ぶりは、あまりにも分かりやすかった。
 俺は妙に冷静にその様子を眺めながら――
 最悪な疑念を確信へと変えていった。

「ごめんなさい、和也……っ。ごめんなさい……」

 聡美が泣き崩れる。
 そんな彼女から、途切れ途切れに明かされていく。
 それは、信じたくない現実だった。

 俺の会社の上司――佐伯響也(さえききょうや)。
 身長は180センチを超え、体格も良い。
 それだけで少し威圧感がある。
 年齢は30代半ばで、いかにも女好きっぽい顔立ち。
 そのチャラさが逆に威圧感を中和している。
 だからなのか、バツイチなのに女性受けも悪くない。
 女性経験が豊富だと聞いたこともある。
 おまけに仕事もできる。
 俺とは全く種類の違うタイプ。
 だけど部下の俺にも気安くて、嫌いではなかった。

 そんな佐伯が、二ヶ月前に俺たちの家に訪ねてきたそうだ。
 佐伯には、どの辺に住んでいるか聞かれたことがある。
 それに結婚式の写真を見せたこともあった。

(だから、聡美の顔を知っているし、家も分かったのか)

 そんな風に妙に納得した。
 そして、家に来た佐伯が聡美に言ったのは――
 俺が仕事で大きなミスをして賠償金の支払い義務を負った。
 ということだった。

 もちろん、そんな事実はない。
 だが聡美は、その嘘を信じた……
 信じてしまった。

 そして、佐伯が俺をかばうこともできると聞き――
 佐伯の望むままに、一度だけという約束で彼に抱かれてしまった。
 さすがに家ではなく、ホテルで抱かれたそうだが、そこに救いがあるわけじゃない。 

 そして、その後は――

『旦那に浮気したことをバラされたくなければ、俺の言うことを聞け』

 そう脅され続けた。
 最初は、一度だけの約束だと頑なに断った。
 だが、決定的な証拠を見せられて心が折れる。
 佐伯は聡美とのセックスをスマホで撮影していたのだ。

「和也に知られたら、絶対に離婚されると思って……」

 聡美は俺の足元にしがみつきながら、泣いた。
 つまり、再び佐伯に抱かれたということだ。
 その太ももの指痕――
 それは佐伯の大きな手によって、つけられた痕。
 無理やり脚を開かれた時に刻まれた裏切りの証拠だった。

 その話を聞き、怒りで全身が沸騰しそうだった。
 今すぐ佐伯のところへ怒鳴り込み、警察に突きつけてやるべきだ。
 泣き叫ぶ聡美を抱きしめ、お前は悪くないと慰めるべきだった。

 それなのに――

「あ、あ……」

 俺の喉は、奇妙な塊に塞がれたように動かなかった。

 聡美は涙で顔をぐしゃぐしゃに濡らし、怯えた表情をしている。
 だけど、「別の男」を知ってしまった艶っぽさを纏っている。
 そんな気がした。
 勘違いかもしれない。
 だけど、一度浮かんだ疑念は簡単には消えない。

 いつもの夜の営みでは、俺の前で恥ずかしそうに身体を縮める。
 聡美は、そういう清純な女性だ。
 俺はそう思っていた。

 だが、佐伯の大きな肉体に組み敷かれ……
 強引に太ももを開かれていた。

 という事実。

(だめだっ……!!)

 そう思いながらも、俺の股間が硬くなっていくのを感じていた。
 しかもそれは、かつてないほどの熱を帯びていたのだ。

 激しい怒りと、死んでしまいたいほどの屈辱。

 だというのに、俺の脳裏には――

 佐伯にぐちゃぐちゃに汚されていく聡美の姿。
 そんな最悪な妄想となって肥大化していく。

「和也……怒ってるよね……? 私のこと、汚いと思うよね……?」

 見上げてくる聡美の瞳。
 そこには、絶望と……
 俺にすべてを握られたことによる服従の色が混じっていた。
 錯覚かもしれない。
 そんな歪んだ感情を彼女が抱くはずがない。
 でも、そう思いたいだけかもしれない。

 ただ、俺は気づいてしまった。
 妻を救いたいという正義感の裏側にあるものを。
 それは俺の奥底にある黒い渇き……
 その渇きが静かに、しかし確実に目を覚ましたことに。

「……聡美」

 俺は彼女を床から抱き起こし、ベッドに座らせた。
 そして、佐伯の指痕を隠すように、その太ももに静かに手を置く。

「大丈夫だ。俺が守るから」

 その言葉は本心だった。
 でも、俺の心臓は狂ったように高鳴り続けていた。
 そして最悪な背徳感と抗えない興奮を感じていた。

※次話はこちらからどうぞ。

※2026/08/14に加筆修正しました。

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