できるリーダーは、「失敗を責めずに残す」
新人さんが入るたびに、同じことを一から説明する。教える人によって内容が違い、現場で戸惑いが生まれる。そして、忙しさの中で伝え漏れが起き、誰かがまた同じ失敗をする。介護現場では、こうした光景が珍しくありません。
だからこそ、リーダーに取り組んでほしいのが「現場で本当に使えるマニュアルづくり」です。
マニュアルというと、分厚い冊子や難しい文章を想像するかもしれません。しかし、最初から立派なものを作る必要はありません。むしろ大切なのは、現場で起きた一つの失敗を、次の職員の学びに変えることです。
たとえば、申し送りの漏れで対応が遅れた。転倒時に誰へ連絡するのか分からず慌てた。食事中の異変に気づいたものの、何を優先すべきか判断できなかった。こうした経験は、できれば隠しておきたいものです。しかし、失敗を個人の責任で終わらせれば、別の誰かが同じ場所でつまずきます。
失敗は、責める材料ではありません。職場を強くするための「教材」です。
特に、転倒、誤嚥、発熱、急変、利用者同士のトラブルなど、いつ起きるか分からない事態ほど、職場独自の対応手順が必要です。一般論を並べるだけでは、いざという時に役立ちません。「夜勤で一人の時はどうするのか」「最初の連絡先は誰か」「家族への説明は誰が行うのか」まで、実際の動きに落とし込むことが重要なのです。
そして、マニュアルづくりはリーダー1人の仕事ではありません。経験のある職員に「これまで一番焦った場面は何だったか」「新人の頃に知っておきたかったことは何か」と問いかけてみてください。現場には、テキストには載っていない知恵がたくさん眠っています。
完璧を目指す必要はありません。まずは、最近起きた一つの事例を一枚にまとめる。それだけで十分です。
リーダーの役割は、失敗しない人を育てることではなく、失敗から学べる職場をつくることです。今日まとめた一枚が、半年後に入る新人の不安を減らし、いつか利用者の命を守るかもしれません。
未来の安心は、今日の小さな記録から始まるのです。
