JAL「どこかにマイル」で行く【札幌ひとりだけど一人じゃない旅】/❷今度こそS村を驚かせてやろうじゃないか!
確率25%の「札幌」を気合いで引き当てた、【札幌ひとりだけど一人じゃない旅】シリーズの第2話。
札幌二日目の朝。
目が覚めて、ホテルに備え付けの部屋着のまま、目が開いているのかどうかも定かではない、うすらぼんやりとした状態で、まずは温泉に向かう。エレベーターの階数ボタンを押す指も、いささかあやしげである。旅に出て、何がしあわせかといえば、早朝の起き抜けの温泉だろう。一日の始まりに、熱いお湯にちゃぽんっと体を沈めた時の、あの幸福感たるや。
湯の中で体がじわじわと目覚め、意識が立ち上がってくるのを待つ。どうやら今日も人間になれたようなので、ここからは動きが早い。
ささっと身支度を整え、スマホを片手にホテルを出た。行き先は、信号をひとつ渡った先にあるカフェである。ドアを開けるころには、温泉で温まったはずの体がもう冷えていた。

店内を見渡して、思わず笑みがこぼれる。(よしよし、まだ来ていないぞ)。

モーニングセットを注文し、入り口からは目隠しになるが、こちらからは注文カウンターがよく見える席に陣取った。
ホテルから1分とかからないこのカフェは、中学同級生男子のメンバーの一人、S村の行きつけである。S村は、毎朝ここでコーヒーを飲んでから出社する。「カフェでコーヒーを飲みながら、新聞を読む。ひと息ついてから、会社に向かうんだ」。
数年前、その話を聞いたわたしはサプライズを目論み、嬉々として朝のカフェで待ち伏せしてやろうと来てみたら、スーツ姿のS村がこちらを見ながらニヤニヤ笑っているのが目に入った。
「来ると思ってたよ」
サプライズ作戦はバレバレで、なんだかすごく悔しかった。そして、S村は本当に新聞を読んでいて、スマホやタブレットで読むデジタル版ではなく、ガチの紙の新聞を広げていたので、大いに笑ってやった。
今度こそ。今年こそ、サプライズを成功させるのだ。今回は、ホテル名も教えていない。
計画通り、7時40分から待機。トーストサンドモーニングは初めて食べたが、これがなかなかに旨い。旨いなあ、などと頬張りながら、客が来るたびにカウンターに目を凝らす。朝のこの時間は人の出入りが多く、ドアが開くたびにドキドキした。S村は驚くかな。喜んでくれるかな、どんな顔をするかな。
トーストサンドは思いのほか食べ応えがあり、腹がきつくなった。
それにしても遅い。時計は8時20分を回った。S村はどうしたのだろう。それとなく、今日は勤務日であることも確認済みである。
ううむ。次の予定もあるので、しびれを切らしてLINEする。
「ああ、今日は週に一度の在宅勤務の日だよ」
またしてもサプライズならずである。次の予定のために、とりあえずわたしはホテルに戻った。
気合いと念で引き当てた話はこちらから。
第1話はこちらから。
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