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「〇〇県を憎み」ーーに、私は思わず謝りたくなった


今回は読書感想です。


「時をかけるゆとり」  朝井リョウ



自転車の旅の章で、
静岡県を憎んだ、という件があった。

私はたぶん、同じ嫌な気持ちになったと
しても、

「静岡県、ごめんなさい。
なにぶん体力不足で…」
と書くだろう。

なぜなら、静岡県には何の罪もないからだ。



「時をかけるゆとり」は、

朝井さんのエッセイであり、
瑞々しくて眩しい
「アオハル」時代を描いている。

ものすごく大きな出来事を描いている、
という感想はない。

旅や、学生時代の黒歴史的な感覚
として、同じような経験を
お持ちの方はいるだろう。

ひとつひとつを取り出せば誰かの日常
にもありそうでもある。

なのに、なぜだ。

私の腹筋は鍛えられた。


※腹筋は面倒だが、
読書は苦でない方は
こちらの筋トレをお勧めします。


とにかく面白い。
笑いが止まらない。


私は笑いの沸点が低い自覚はあり、
外では読まないようにした。
皆さんもご注意ください。


なんでこんなに文章が面白いのだ!?

と、考えてみると。

出来事そのものよりも、
そこに足されている
言葉が面白いのだと感じた。

自転車旅の
風景が変わらなくて
「飽きる」「疲れる」を、

「静岡県を憎む」まで、
執拗に攻めて足してくる。


この強烈な足し算が、
本筋を装飾どころか、出来事そのものを
最大に引き出している。


自転車の旅ーーなんて聞いたら、
なんて魅力的な美しい思い出になるだろう、
と想像してしまいがちだが。


精神崩壊寸前、お尻の痛み…
もはや日本の
美しい風景が霞んでしまうよ。



そして私は、こういう文章も好きなんだと
気づいた。


私だったら、
「静岡県ごめんなさい」と書くだろう、
と最初に言ったのは

誰かを悪者にしないように。
言いすぎないように。
誤解されないように。

そんな気持ちだ。



でも、朝井さんはそこを一気に振り切る。

「私はこのとき、こう思ったんだよ」

と、最大火力で投げてくる。


この潔さが気持ちいいのだろう。


だから受け手の読者も
「まぁそこまで言わんでやって」
と笑うことができる。


この書き手と読み手の絶妙な距離感まで
含めてエンタメなのだ。

そして私はまんまと乗せられている。
今後少し文章が変わるかもしれない。


もちろん、直木賞作家と自分の文章を
比べるほど、愚かなではない。

ただ、

「文章って、人の思考までちょっと
感染るんだな」

という読書体験をした、という話。



漫画や小説が大好きで、
これらは自分の価値観に
大きな影響を与えているかもしれない。


以前そんなことを書いたけれど。

今回もまた、物語だけではなく
「物事の見方」や「言葉の置き方」まで、
本から受け取ったのだと思う。


だから読書はやめられんのだ。。


一冊読み終わったら、
自分の中に何が残ったのかを
考えることになる。


そして今回は、時期的にも
自転車旅をされている方をお見かけする度、

どうか無事にこの県を過ぎて行って欲しい

なんて願いもプラスされてしまったよ!


最後に。

朝井リョウさん。

静岡県民から一言だけ。

単調な風景でごめんなさい。
今度は新幹線で来て、
豊かな自然を満喫してください。


でも、めちゃくちゃ面白かったです。


↓こちらは少し🤏違う角度から
書いた読書感想です。
好きすぎて2本も感想を書いてしまい
ました。

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