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「右の頬を打たれたら、打った奴らを皆殺しにしなさい」結婚式がパリ史上最大の虐殺の舞台になった夜 三アンリの戦い #42

こんにちは、malkomeです。

ユグノー戦争第3話です。 

ヴァロワ王家は虐殺の断を下しました。
合図は教会の鐘、日取りは8月24日の夜明け前です。

前回のお話

サン・バルテルミ

⚔️ 2人目、アンリ・ド・ギーズ

ここで2人目のアンリを紹介します。

カトリックのアンリ アンリ・ド・ギーズ。
第1話で暴れ散らかしていたフランソワ・ド・ギーズの息子です。

危険な雰囲気があり、頬傷バルフレのアンリという、中二病患者が歓喜しそうなあだ名まで付いていました。


ギーズ公アンリ
ユグノー戦争父を殺されたため、

「...ユグノーは俺が皆殺しにしたる」


と、ユグノー絶対殺すマン闇堕ちしていました。


そしてこの夜、彼はユグノー指導者排除の動きに加わり


「復讐のチャンスや...」


と呟きます。
そして彼は父フランソワにも劣らぬ恐るべき存在になっていくのです。

ギーズ公アンリ ユグノー戦争におけるカトリックの中心人物


💀 コリニー暗殺

夜明け前の午前2時頃。

サン=ジェルマン=ロクセロワ教会の鐘が鳴り響きます。

「なんじゃ、なぜこんな夜中に鐘が鳴るんじゃあ」



それは虐殺の合図でした。

最初の標的は狙撃され動けずにいたコリニー提督です。

このユグノーの重鎮のもとへ暴漢が踏み込んでいきます。


「父の仇や!覚悟せぇ!」


ギーズ公アンリに命令を受けた部下はコリニーの部屋へ踏み込み、その場で彼を斬り殺しました。


コリニー暗殺に歓喜するカトリック過激派たち。

「ユグノーの親玉をよう殺ってくださった!」

「さすがですわアンリ様!一生ついて行きます!」



と、ギーズ公アンリへの熱狂は一気に高まります。

そして勢いのまま彼らはパリを地獄に陥れていくのです。

コリニーはギーズ公アンリの手下に殺され、2階から放り投げられたとされる

💥サン・バルテルミの虐殺

ユグノーは次々と殺されていきました。
宮廷の中、宿舎、街の中、どこであろうがお構いなしです。


最初のうちは、


「知った顔やぞ!こいつユグノーや!」



と、見た目で狙い撃ちしますが、そのうち


「誰がユグノーなんや!見た目じゃ分からんわ!」


と、そりゃそうな事を言い始めます。 



そのため、


「もうええ!」



と、それっぽい奴らが次々と殺され始めます。


こうなったらもう後戻りできません。



「あっ、ムカつく金貸しや!」



と、ただの借金取りが殺されたり、


「あっ!うちの女房と寝よった奴や!」



と、ただのゲス不倫野郎が殺されたり、



「そういえば昔、親方に殴られた!」


と、ただのパワハラ上司が殺されたりします。





もはや、


「こいつユグノーや!」


といえば、殺されるヤバすぎる状態です。

しかしときに心ある人間が現れ、



「ひどいぞ!もうやめろよ」



と言いますが、


「こいつユグノーや!」



と、やっぱり殺されてしまいます。



もはやユグノークソも関係ありません。

国王の名のもとに始まった虐殺は、やがて数千人もの市民を巻き込む狂乱へと変わっていきました。

そしてギーズ公アンリカトリック過激派から崇拝され、一方でユグノーから激しい憎悪も集めることになるのです。

そして王家は延命措置には成功したものの、その権威はさらに失墜していきます。

サンバルテルミの虐殺 ユグノー戦争のピーク
虐殺の後、市中を見回るカトリーヌ・ド・メディシス

🤡諸外国の反応

このサンバルテルミの虐殺はヤバすぎたため、ヨーロッパ諸国にも衝撃を与えます。

イングランドのエリザベス女王はプロテスタント信仰を持っていたため、


「うっわぁ...」


と、この蛮行にドン引き
でもだんだんムカついて来たので、フランス外交官が来たら喪服で対応するという嫌がらせをしました。


一方、カトリックガチ勢のスペイン王フェリペ2世は、


「ふふっ」


と、笑みを浮かべます。

なんの話やねん、と思われたかもしれませんが、フェリペ2世『行列のできる法律相談所』初期の北村弁護士くらい笑わない国王でした。

そのためこのレアな笑顔はなぜか記録に残され、根暗すぎる国王フェリペ2世を彩るエピソードの一つになりました。


エリザベス1世 プロテスタントの信仰を持ち、スペインと1588年に戦争をした


🙏 ナヴァル王アンリの選択

ユグノーのアンリ
ナヴァル王アンリ
カトリック過激派に包囲され、

「コリニーと同じ目に遭わせたるぞ!」



と凄まれます。
続けて、

「もっとも改宗すりゃ、話は別やけどな!」


と言わたため、ナヴァル王アンリは、


「そうか!ほいじゃカトリックに改宗じゃ!」


と、あっさり改宗をしました。


でも、あまりにも軽すぎるノリだったので、


「えっ?いやいや無理なんちゃう?」

「でも今、改宗する言うたわ!もう殺せんやろ」

「またユグノーに戻るかもしれへんぞ」

「せやけど改宗したやん!殺したらダメなんちゃうか」


と、カトリックガチ勢の方が揉め始めます。

でも改宗されては何も言うことはできず、こうしてナヴァル王アンリは命が助かったのです。

ナヴァル王アンリ 生き残るため、カトリックに改宗をした

崩れゆく王家

👑 シャルル9世の末路

このサンバルテルミの虐殺によりカトリック強硬派は力を強め、ユグノー派は大きく力を失いました。しかしこの出来事はフランス王家そのものにも深い傷を残します。


国王シャルル9世は悪夢に苛まれ続けます。

「コリニー!僕を...っ、僕を許してくれぇ!」


この病弱な国王はこの宗教戦争の地獄に耐えることができずシャルルはついに崩御します。


母后のカトリーヌ・ド・メディシスは息子の死を悼みながらも側近にすぐ伝えます。


「”アンリ”が帰還する準備をしなさい」


シャルル9世の崩御 1574年宮廷の陰謀と宗教戦争に翻弄されたシャルルは23歳でその短い生涯を終えた。


👑 3人目、アンリ・ド・ヴァロワ 

シャルル9世嫡子はおらず王位はに移りました。


それが3人目のアンリアンリ・ド・ヴァロワです。


王族育ち派手好きのいわゆる伊達男でしたが、ユグノー戦争で数々の武功を挙げた有能な軍人でもありました。


彼は優秀さはヨーロッパにも伝わり、ポーランド・リトアニア共和国から


「ぜひ我が国の王になってください!」



と熱烈オファーを受け国王内定していました。
しかし兄の崩御を受け、逃げるようにフランスに戻ります。



そのため母后カトリーヌ・ド・メディシスは、


「王家の危機を救えるのはアンリだけだわ」


と、有能なアンリにたいへん期待をしていました。

彼はフランス王アンリ3世となり、地に堕ちてしまったヴァロワ王家の権威回復に奔走することになります。


アンリ3世 兄弟の中で最も出来の良い息子と見られていた


3️⃣三アンリ揃い踏み

いよいよ三アンリが揃いました。
一度整理しておきましょう。

アンリ3世
「憂いを抱く、美しくも孤独な王」

誰よりも華やかで、誰よりも優秀。
彼の肩には崩れゆく王家の未来が重くのしかかる。


ギーズ公アンリ
「愛も憎しみも極端な危険な騎士」

ユグノーを皆殺しにしたいカトリックの英雄。
その瞳に映るのは復讐か、それとも王冠か


ナヴァル王アンリ
「放っておけない最強の年下男子」

無邪気な笑顔に隠された強い願い。
仲間たちを守るならどんな手でも使う。

なんか乙女ゲー主人公選択画面みたいになってましたが、この主役の3人がさらなる波乱を巻き起こすのが次のお話です。

つづく


※ 本記事は史実をもとに構成していますが、筆者の主観的な表現・誇張が含まれます。史料としてではなく、ひとつの解釈としてお読みいただければ幸いです。


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