「ねぇみんなさぁ、なぜわたしをお見捨てになったのですか?」孤独な国王アンリ3世の決断 三アンリの戦い #43
こんにちは、malkomeです。
パリを血に染めたサン・バルテルミの虐殺。
王家はユグノーを大量虐殺することで危機を回避しましたが、その代償はあまりにも大きなものでした。
前回
アンリ3世の憂鬱
👑 即位
1574年アンリ3世がフランス王に即位をします。
しかし、
「えっ、ウチってこんなやばいの?」
と、驚愕します。
ユグノーは各地で大暴れ、カトリック過激派は増長し、内戦は終わらず財政難という状況。
「マジかよ...これはキツいぞ」
不安になるアンリ3世。
さらにここで絶対に起こっちゃいけない事が起こってしまいます。
🏃♂️ ナヴァル王、逃げる
サン・バルテルミの虐殺で助かったナヴァル王アンリは、
「ワシは改宗したけぇ、国王とは一蓮托生じゃ」
と、王家に忠誠を誓っていました。
そのためアンリ3世は安心していましたが、
「ナヴァル王が逃げたぞ!」
と、あっさり逃亡されます。
ナヴァル王アンリは地元に帰り、
「ユグノーにまた改宗するけぇの!」
「そしてクソ王家と、ボケのギーズに抵抗じゃ!」
と宣戦布告。
王家の威信を傷つけてまで抑えたユグノーたちがまた元気を取り戻してしまいました。
アンリ3世はこの対応に忙殺されます。

⚔️ カトリックの英雄
ユグノーたちは勢いに乗り、王家は苦戦を強いられます。
勘弁してほしいアンリ3世は、
「わっ、わかったよ!何とかするから!」
と、ユグノー信仰の緩和や地位回復を約束しました。
これにはユグノーたち大歓喜。
しかし...
「ふざけんな!クソボケ異端者には”死”一択やろ!」
と、やっぱりギーズ公アンリを中心としたカトリック過激派が暴れ始めます。
こうなると王家はヤクザとマフィア両方に脅される政策官僚みたいな状態になってきます。
マフィアをなだめたらアロハのチンピラがやって来るし、ヤクザを優遇したら青龍刀マッチョが押しかけて来ます。
胃のあたりを押さえるアンリ3世に対し、ギーズ公は
「王家には頼らんわい」
と、カトリック同盟とかいう同盟を結成します。これはスペインやローマ教会なども巻き込んでおり、王家にとって地獄も地獄みたいな組織でした。
アンリ3世はストレスを抱え多忙な日々を過ごしていきます。

エスカレートする両者の争い
💣 王位継承問題
さらに事態は悪化します。
1584年、王弟フランソワが死去します。
これでアンリ3世の男兄弟は全員亡くなりました。
誰も嫡子がおらずこれから産まれる気配もありません。
当然周りは『次の王は誰か』かと思い始めます。
「オルレアン家、ベリー家もいない、となると次はブルボン家か」
「ブルボン当主は...あった、アンリ、またアンリか」
「ブルボンのアンリ?ん、はて...?誰だっけ...」
「そんな奴いたかな...うーん、聞いたことないな」
「あっ、そうだ、そうだった」
「ブルボン家の当主は今、ナヴァル王になってるんだ」
「だからこのブルボンのアンリってのはナヴァル王の事だ」
「えっ?...ナヴァル王アンリ?」
そうなんです。
実はフランスの”正統な王位継承法”によると、次のフランス王はブルボン家の当主であり、ナヴァル王...
あの”ユグノー”のアンリ・ド・ナヴァルになってしまうのです。
次回!フランス王!ユグノーのアンリ!
来週もお楽しみに!
この次回予告を見たカトリック同盟は
「うわぁああ!ダメ!ダメやってこれ!」
「ボケカス異端野郎が国王やとぉお!?」
「絶っ対ありえん!辞退や!辞退しろやぁぁ!」
と、取り乱します。
一方、ユグノー陣営は、
「王国のルールは絶対じゃろうが!」
「継承法のどこに『ユグノーはダメ』と書いとるんじゃ」
となり、両者の争いはさらに泥沼化します。
胃薬が手放せないアンリ3世を横目に、カトリック同盟は
「ナヴァル王を継承者から外せ!」
「ギーズ公を次の国王にせいや!」
と王家に無理筋な事を言い始め、アンリ3世はギーズ公にもはや恐怖するようになります。
🔥 バリケードの日
1588年アンリ3世はとある事がきっかけで、ギーズ公を叱ります。
「お前はパリ出禁だ!」
まぁここまでは普通の上司と部下の会話ですが、ギーズ公は、
「出禁やと!?知らへんわ!」
と、出禁を無視してパリへ入場。
しかもパリっ子たちはアンリ3世にブチ切れます。
「パワハラ国王!パリから出ていけ!」
と、ご丁寧にバリケードまで作られて、パリ市民からのガチ蜂起を受けます。
サンモニで『喝』を入れたら大炎上してテレ朝を干されたような状態です。それほどまでにギーズ公は絶大な人気がありました。
ブロワ城に逃げたアンリ3世は、
「えっ...なにこれ?俺、国王だよ!?」
「何だよ!ギーズ、ギーズってみんな言いやがって」
と、中学生メンタルになってしまいます。
そしてついにアンリ3世は、
「...もう、ギーズ公を殺すしかない」
と、15年前にコリニーを殺した母たちと同じ轍を踏むことになっていくのでした。

🗡️ 王の決断
アンリ3世はブロワ城からギーズ公を含む国内の有力貴族を招集しました。
ギーズ公は、
「まぁここらで一応、恭順の意を示したるわ」
と、ブロワ城に向かいます。
周りは殺されるかも知れないので行かない方がいいと、止めますが、
「俺、人気者やねん!殺されはせんやろ流石に」
とイキリ散らします。
しかしギーズ公アンリは見通せませんでした。
アンリ3世が国王という立場を忘れ、恐怖に囚われた男になっているという事を...
1588年12月23日、ギーズ公が王の部屋へ向かう途中、待ち伏せしていた兵士たちがギーズ公を襲撃。
三アンリの一角、カトリックのアンリ。
アンリ・ド・ギーズは殺されてしまいました。
「やったぞ…!ついにギーズを倒した!」
と呟くアンリ3世。
そしてこの愚かな行為のツケはすぐ回ってきます。

⚰️ そして誰も救われない
王家の権威はこの件で完全に地に落ちました。
アンリ3世は開けてはならないパンドラの箱を開けてしまったのです。
「ヴァロワのアンリ!なんちゅうことしたんや!」
「貴様みたいなボケカス!誰が国王と認めるかい!」
「ギーズの意思を継ぐもんをを王にせぇ!」
ギーズ公を失ったカトリック同盟はより攻撃的になり、堂々と国王を批判し始めます。
まもなく母后カトリーヌ・ド・メディシスも病没、気づけばアンリ3世の周りには誰もいなくなっていたのです。
憎しみの火は尽きません。
カトリック、ユグノー、ヴァロワ王家、この陣営は互いを恨み、フランス中を燃やし、永久とも思える長い殺し合いを続けます。
「もう、フランスは終わりだ...」
しかし、パンドラの箱の奥底に希望の光が見えました。この光はアンリ3世に手を差し伸べます。
そしてその光は地獄の宗教戦争を終わらせてフランスの救世主となっていくのです。
次回、最終話です。
つづく
※ 本記事は史実をもとに構成していますが、筆者の主観的な表現・誇張が含まれます。史料としてではなく、ひとつの解釈としてお読みいただければ幸いです。
