ドイツ期待の若手逸材5選を紹介!Ⅲ 2002年生まれのNachwuchs FOKUS Bundesliga!!! #63
前書き

ドイツで新世代のタレントが育ちつつある。とくに今季のブンデスリーガで顕著だったのは2002年生まれ、つまり現U21ドイツ代表選手たちの才能が開花したことだった。2025年3月14日には、U21スロバキア代表とU21スペイン代表との親善試合に臨むため のU21ドイツ代表のメンバーが発表された。アントニオ・ディ・サルボ監督に率いられたのは以下の23名だった。
TOR - GK
1 ノア・アトゥボル
12 ヨナス・ウルビッヒ
23 ティリャク・エルンスト
FELDSPIELER - DF
2 ナムディ・コリンズ
3 ナサニエル・ブラウン
4 ブライト・アレイ=ムビ
5 マックス・ローゼンフェルダー
13 ルーカス・ウルリッヒ
14 ティム・エールマン
15 ジャミル・ジーベルト
16 ジョシュア・クアルシー
MITTELFELD - MF
6 エリック・マルテル
7 アンスガー・クナウフ
8 イェンス・カストルップ
11 ヤン・ティールマン
16 カスパー・ヤンデル
17 ブラヤン・グルダ
18 ロッコ・ライツ
20 パウル・ヴァナー
21 パウル・ネーベル
ANGRIFF - FW
9 二コロ・トレソルディ
10 ニック・ヴォルテマーデ
19 ネルソン・ヴァイパー
それぞれが所属クラブで一定以上の出場機会を獲得している逸材ばかりで、錚々たる陣容が揃った。2度の親善試合で得られた結果も見事で、U21スロバキア代表には1-0、U21スペイン代表には3-1で勝利を挙げた。1歳下の2003年生まれにはフローリアン・ヴィルツとジャマル・ムシアラという2人の天才がいることもあり、脚光を浴びることができずにいたのが「2002年生まれ」の世代。しかし今季のブンデスリーガでは、むしろ彼らの方が主役として活躍している。
本テキストでは、今季のブンデスリーガでとくに鮮烈な活躍をみせた2002年生まれのドイツ代表選手5人をピックアップし、彼らの活躍ぶりとプレースタイルを交えながら紹介していく。
1. ニック・ヴォルテマーデ

Nick Woltemade
現所属:VfBシュトゥットガルト
生年月日:2002年 2月14日
出身:ブレーメン, ドイツ
身長:198cm 利き足:右足
2024/25シーズンの成績:28試合 12得点 アシスト
2024/25シーズンのブンデスリーガ後半戦で急激に名声を高めた選手を1人挙げるなら、それはニック・ヴォルテマーデ以外にいないだろう。きっかけとなったのは、U21スペイン代表と対戦した一戦。ヴォルテマーデは同試合でハットトリックも記録するなど、相手を圧倒するプレーを披露した。DFBポカールでも出場した4試合で4ゴール、ブンデスリーガでも9ゴールを記録するなど、目覚ましい活躍ぶりを見せる。
ヴォルテマーデの最大の特徴は、198cmという巨躯の持ち主ながら、繊細な足元の技術も有している点だ。ワンタッチで裏に抜けての得点やトップ下の位置で味方と連携してチャンスを創出するなど、細かいプレーを得意としている。そのうえ巨体を活かしてのボールキープや強引な突破も狙うことができ、相手DFは対応に苦慮せざるを得ない。
SVヴェルダー・ブレーメン時代から注目を集めた逸材が、セバスティアン・ヘーネス監督のもとでその才能を開花させた。現ドイツ代表監督のユリアン・ナーゲルスマンもすでに注目していると語るなど、A代表招集も時間の問題だろう。ティム・クラインディーンストとともに、ドイツ代表のCFを担う活躍を期待したい。
2. パウル・ネーベル

Paul Nebel
現所属:1. FSVマインツ05
生年月日:2002年 10月10日
出身:バート・ナウハイム, ヘッセン州
身長:169cm 利き足:右足
2024/25シーズンの成績:31試合 10得点 4アシスト
今季躍進する1.FSVマインツ05で中心的存在となっているのがパウル・ネーベルだ。2シーズンの間レンタルされたカールスルーエSCで活躍し、今夏マインツへ復帰した22歳は、ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCへ移籍したブラヤン・グルダに代わり、右トップ下のスタメンに定着した。
小柄な体格を活かした機動力、足元の技術を活かしたドリブルとキープ能力、左右両足で繰り出す威力のあるキックを武器にするネーベルは、最前線のヨナタン・ブルカルトや右WBのアントニー・カシと見事な連携を披露。第10節、ホームでのボルシア・ドルトムント戦での1部初ゴールを皮切りに、今季8ゴールを挙げている。
サイドやハーフスペースからのドリブルでチャンスの起点となることができるうえ、中央に入って得点も狙うことができるプレースタイルは、対戦相手にとって大きな脅威だ。ユース年代のドイツ代表でも豊富な経験を誇るなど期待は大きい。次世代のドイツ代表を支える存在として期待したい。
3. ノア・アトゥボル

Noah Atubolu
現所属:SCフライブルク
生年月日:2002年 5月25日
出身:フライブルク・イム・ブライスガウ
身長:190cm 利き足:右足
2024/25シーズンの成績:26試合 クリーンシート:10試合
今季のブンデスリーガにおける最優秀GKは、ノア・アトゥボル以外にあり得ないだろう。不安定な部分が見え隠れした昨シーズンとは比べものにならないほどに成長したセービング能力、ボールを大事にするチームスタイルに適応できるほどの足元の技術力は大きな武器であたうえ、驚異の6試合連続PKストップを記録するなど、ゴール前で放つ存在感は絶大だった。
SCフライブルクのユースは見事で、マーリン・レールやマックス・ローゼンフェルダー、ラファエル・トロイなど、アトゥボルと同世代の選手で代表に呼ばれるだけの才能の持ち主を数多く輩出している。ただアトゥボルの才能は、そのなかでも群を抜いている。生来の身体能力に加えて、試合経験を通じた技術力の向上が著しい。
リーグ内では、比肩するGKはいないといっても過言ではない。アトゥボルに期待したいのはサッカードイツ代表での活躍だ。クラブでは実力ある先達フロリアン・ミュラー、U21ドイツ代表では同世代のヨナス・ウルビッヒと研鑽しつつ、さらに成長してほしい。今の好調ぶりを維持できれば、遠からずマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンと正位置を争える存在となるだろう。
4. ロッコ・ライツ

Rocco Reitz
現所属:ボルシア・メンヘングラードバッハ
生年月日:2002年 5月29日
出身:デュイスブルク, ノルトライン=ヴェストファーレン州
身長:176cm 利き足:右足
2024/25シーズンの成績:27試合 2得点 1アシスト
今季、ロッコ・ライツがボルシア・メンへングラートバッハでみせたプレーぶりは、彼がチームの司令塔としてどれだけ大きなビジョンと才能を有しているのかを知らしめた。守備時に懸命に走り、チームのダイナモとして活躍したのが2023/24シーズン。そこから更にプレーを進化させ、ワイドに展開するパスやカウンター時の縦パスの正確性でよりチームの「心臓」として欠かすことのできない存在にまで成長したのだ。
正確な右足のインサイドキックを武器に攻撃のタクトを振るうことができ、ドリブルをしながらでも味方の足元にボールを供給できる。第19節のVfLボーフム戦では、そのインサイドキックで決勝点となる得点を決めた。ドリブルでのダイナミックな持ち上がりでカウンターを演出するプレーは相手にとっての脅威となり続けた。
アレクサンダル・パヴロヴィッチやアンジェロ・シュティラーなど、現ドイツ代表の中盤は守備的なパサータイプ、いわゆる6番タイプの若手選手が名を連ねている。そういった意味ではダイナミズムをもたらす8番タイプであるレオン・ゴレツカのバイプレイヤー、あるいは後継者となりうるのはライツだろう。A代表での活躍に期待したい。
5. カリム・アデイェミ

Karim-David Adeyemi
現所属:ボルシア・ドルトムント
生年月日:2002年 1月18日
出身:ミュンヘン, バイエルン州
身長:180cm 利き足:左足
2024/25シーズンの成績:25試合 7得点 6アシスト
ドイツでは2005年から毎年1回、17歳と19歳の選手を表彰するフリッツ・ヴァルター・メダルが贈られる習わしがあるが、2002年生まれの選手で最上位の金のメダルを受け取った経験の持ち主はカリム・アデイェミのみだ。彼は、同世代の選手と比較しても、それほどまでに抜きんでた才能を有しているのである。
レッドブル・ザルツブルクで才能を開花させ、2022年、鳴り物入りでボルシア・ドルトムントに加入したアデイェミ最大の武器はその脅威的な身体能力。爆発的なスプリント能力を活かしてサイドを突破するシーン、決して大柄ではないにも関わらず、CB顔負けの跳躍力をみせるシーンなど、その圧倒的な能力の高さをみせるシーンは散見される。
シュートのうまさも見事で、UEFAチャンピオンズリーグのLOSCリール戦では、コーナーキックのこぼれ球を正確にゴール隅に決めてみせた。ドイツ代表では、レロイ・ザネ、セルジュ・ニャブリにとって変わることのできるサイドアタッカーとして間違いなく重宝されるだろう。彼が更なる成長を遂げ、ナーゲルスマン監督率いるチームの中心となっていくことを期待したい。
後書き

2002年6月30日、準決勝で韓国代表に勝利したドイツ代表が、横浜国際競技場で行われたワールドカップ決勝に進出した。しかし結果は0-2の完敗。対戦相手であったブラジル代表のエース・ロナウドが躍動し、2ゴールを決められた格好だった。
オリヴァー・カーンの致命的なミス、ミヒャエル・バラックの出場停止など、勝敗をわける要素は様々あった。ただ、この試合で重要だったのは、2000年のユーロでの失敗を反省したドイツ代表が、新たな戦い方を模索した時期に得られた最初の成功であったという点だろう。ルディ・フェラー監督に率いられたチームは、機能的で、攻撃的なサッカーを披露したのだ。
2002年はドイツサッカー回における転換期だった。とくにユース改革が力を入れて行われ、2001年にはドイツ・ブンデスリーガ1部のクラブ、2002年には2部のクラブも含めての育成機関設置が義務付けられた。2002年世代の選手たちは、まさにその育成改革で目指した方向が正しかったことを示している新世代の選手たちだ。
すでに紹介した上記5人以外にも、ボルシア・ドルトムントユース出身のアンスガー・クナウフや1. FCケルンで中核を担うエリック・マルテルなど、多くのタレントが育っている。「ドイツの育成はただしい方向へと向かっている。」選手たちの溌剌としたプレーぶりをみていると、そう断言したくなってしまう。ディ・ザルボ監督に率いられたチームが、A代表に新たなタレントを輩出する役割をさらに担うことができるようになることを何よりも期待したい。
ドイツ期待の若手逸材5選シリーズ
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