岐阜という累計発行部数を数えてみたい土地についてー祝・朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』本屋大賞によせて
『イン・ザ・メガチャーチ』本屋大賞おめでとうございます!!!!!!
で、朝井リョウ氏である。朝井さんの作品の面白さのひとつは、なかなか小説の世界に登場することのなかった「ふつうに人生を楽しんでいる(ように見える)人」の内面が文芸的語りに引き摺り出されることにあると私は思っている。ようは勝ち組と呼ばれそうな人の内面が、実はきわめて小説的な葛藤に支えられていたりする、そこの心の襞に迫ることができる。そういう力を本当の意味で持っている書き手は、実はそんなに多くないと私は思う。なので、朝井さんの作品を読むたび「人生がうまくいってそうに他人から見える人」の心のうちのぽっかりと空いた穴に思いを馳せてしまうのだった。『イン・ザ・メガチャーチ』にも、就職活動を前にした女子大生や大手企業に勤める男性が登場するのだが、彼ら彼女らが推し活を通して何の心の穴を見せているのか、思わず考え込んでしまうのだった。
イン・ザ・メガチャーチの感想については、こちらのnoteに詳しく書いてるのであわせてぜひ。
しかし小説を読むたび思うのが、なぜ朝井さんは小説を書いているんだ……という深い疑問である。
だってクラスの真ん中で生徒会長やってダンスやってる朝井さんが、なぜ小説の道に進んだのだろう。もちろん素敵な本の出会いと彼の文才がそこにはきらめいていたのだろうということはうっすら想像がつくし本当に小説家になってくれてありがとうという話ではあるのだがそれにしても、なぜ。
という話を友人としたら、友人は言った。
「岐阜出身だからじゃない?」
岐阜!?!?
「私も岐阜出身だからわかる! 岐阜はね、なんかそういう性格の人が集まってるんだよ!」
そういう性格って、何!?!?
「なんかね、朝井さんには、岐阜みを感じるよ!」
岐阜み!?!?
はじめて聞いたワードすぎてびっくりする。が、実は私は岐阜出身者と仲良くなることが多い。研究室の唯一の同期、ルームシェアしてた友人、担当編集者、大学で初めて仲良くなった子、サークルの先輩、などなぜか岐阜出身者と縁がある。彼ら彼女らはみんな揃いも揃って「しゅっとしている」。関西の褒め言葉であるところの、なんというか、身なりに丁寧に気を遣っている人ばかりなのである。しかしそれを岐阜出身者に「岐阜ってしゅっとした人多くない?」と尋ねると「え!?!?」と心底驚く顔をされるのが毎度不思議なのである。いや、岐阜、めちゃ美男美女多い国だと思っているよ私は勝手に。
そんな岐阜性にあらためて思いを馳せてしまう。岐阜みとは何か。
友人と話した後、私は調べた。岐阜出身者作家たちを。すると驚くべき事実が発見された。
岐阜、売れっ子作家爆誕しすぎい。
※敬称略
・朝井リョウ(イン・ザ・メガチャーチ)
・池井戸潤(半沢直樹シリーズ)
・冲方丁(天地明察、マルドゥックシリーズ)
・奥田英朗(精神科医・伊良部シリーズ)
・米澤穂信(氷菓シリーズ)
・小川一水(天冥の標シリーズ)
・中山七里(さよならドビュッシー、御子柴礼司シリーズ)
・中村航(100回泣くこと、僕らはまだ、恋をしていない!シリーズ)
・平坂読(僕は友達が少ない)
・白鳥士郎(りゅうおうのおしごと!)
・伊藤潤二(富江)
・雷句誠(金色のガッシュベル!!)
・峰なゆか(アラサーちゃん)
・ねむようこ(こっち向いてよ向井くん)
※代表作を横に並べましたが異論反論あると思います雑ですみません
シリーズもの作家、多くない? てか、本屋大賞ノミネート作家も、多くない??
そしてこの並びから醸し出される、圧倒的な読者へのサービス精神………!!!!
純文学というよりもしっかりエンタメ作家漫画家が多すぎる。てか累計発行部数すごすぎる。あと北川悦吏子さんやカサヰケンイチ監督も岐阜だった。そうなんや。
まあ出身地域というものを過剰に語るとあまり品がないのもわかるしなんというかそこまで論証できる話でもないので、飲み会の与太話くらいのテンションで聞き流してほしい。のだが、しかし、ねえ、岐阜に何の創作の秘密が!? とつっこみたいほど、岐阜の人のサービス精神あふれる作家精神が偉い。ていうかみんな勤勉そう。丁寧そう。
シリーズものの続きをちゃんと書いてちゃんとファンを喜ばせる。が、同時に、どこかに心の内側のほの暗さをともなったサービス精神がある……という一貫性がすごいと思うのですが偶然でしょうか岐阜の謎!!!
という与太話でした。まじで好き勝手書いてすみません。個人のnoteだから許して! 朝井さんの『イン・ザ・メガチャーチ』、ぜひみなさま読んでみてください……!
有料部分は私のベストオブ朝井作品について。
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いつもありがとうございます。たくさん本を読んでたくさんいい文章をお届けできるよう精進します!
