「根拠なき熱狂」- "納得いかない物" を買う "危うさ"
「根拠なき熱狂(Irrational Exuberance)」
これは先日100歳で亡くなった(もの凄く長生き!)*グリーンスパン元FRB議長が1996年12月の講演で残した名言の1つ。利上げしても利上げしても長期金利が低下し逆イールド化を招いた時に2005年2月の議会証言で発した「謎(Conundrnm)」と並び称される
*20年以上金利に携わったベテランで「マエストロ」≓「金融の神様」とまで称された氏を覚えていない者はいないだろう。前者は当時の「ITバブル」を称したもので後者はグローバリゼーションが進む中での「お金」の流れの変化を示唆。特に日中による巨額のドル買い(円・人民元売り)介入が取り沙汰された。1994年2月に始めた利上げも「伝説」の1つ。筆者がトレーダー人生で2番目に損をこいた(苦笑。1番はポンド危機@1992年9月)。何しろ非雇用部門就業者数がマイナスの状態で突然始めた利上げで、FOMCだけでなく緊急理事会も含め半年で+150BPも上げたのだから死者続出
今またこの言葉がクローズアップされているという。 マーケットはずっとサインを送り続けている|損切丸 等々ずっと「損切丸」を読んでいる方はご存じだろうが、日経平均が急落しているから突然これを書いている訳では無い。金利上昇過程に入ったここ2年ぐらい同じような事ばかり書いてきた(苦笑)。端的に言って「お金が無い」。** "納得いかない物" を買う "危うさ" は身に染みている
**バブル期に「東京23区の土地でアメリカが2つ買える」と言われた時もそうだったし、香港株が急騰して時価総額が日本の総資産を超えた時もそう。「根拠なき熱狂」のITバブルの時も「100年先までの業績改善を織込んでいる」等々珍説が跋扈。要は "買いたいための理屈" 。さて、今のAI半導体関連株はどうだろう
これはもう人間の "業" なのだろう。やれオプションだ、AIだと技術革新を旗印に株価を上げようとするがただ儲けたいだけ。やっている事の本質は数十年来変わっていない。ただ今回大きく違うのは「根拠なき熱狂」や「謎」が幾たびの金融危機を挟んで「借金」が膨張する "過程" で起きた事象なのに対し今回はその逆の "弾切れ" が原因である点。銀行がレバレッジ(借金による回転売買)を規制された後に「国」が出て来て世界で総額5京円まで「借金」を膨張させた後起きている。ある意味今までより "危うい"
それを如実に表しているのが米国債、JGBを中心とした金利、特に長期金利の上昇である


"利下げすれば金利は下がる"
これは○か×か。強いて言えば△だが "利下げすれば短期金利は下がるが長期金利が下がるとは限らない" が正解。なぜか。利下げは短期の資金調達コストを下げるが「資金繰り」の改善には寄与しないから。利下げで緊張感が緩み「資金繰り」改善の努力を怠るようだと中長期の金利はむしろ上昇。まさに今の日本が置かれている状況そのまま。それだけリスク ≓ デフォルト(倒産・破綻)が上昇するということを意味する。だから政策金利が▼1.25%も低いのに30年JGB@3.96%はドイツ国債@3.60%を上回る
今起きようとしているのは令和版の「謎」
2004~2005にはFRBが利上げしても利上げしても長期金利が上がらなかったが、令和版ではいくら低金利を維持しても長期金利が上昇する「謎」に直面している。もっともこの現象、前例が無いわけではなく、1980年代に「双子の赤字」=財政赤字+経常赤字で「ドル安・米株安・米国債安(金利上昇)に悩まされたアメリカで起きている。今度の主役は日本。だから筆者は "円危機" を唱えている
今この国は経常収支が黒字なので大きな騒ぎになっていないが、例えばこれでアメリカがリセッション(ないしスタグフレーション)に突入すればもうどうなるか判らない。ここで「円安」を止めないと大変な事になる。本当に日銀の独立性を認めるなら7/31の政策決定会合で+0.5%の利上げを決めるぐらい大胆な策が必要だが 続・もう間に合わない - 今更 "日銀の独立性" と言われても...|損切丸 「利上げ無し」をメディアに事前リークし、10/30に+0.25%をコンセンサスにするようではお話にならない

購買力平価、e.g., ビッグマック指数、日本@480円<<アメリカ@1,440円、等考えれば筆者が今最も自信があるバリュー取引は「円買い」。少なくともこんな所で円を売ったりしない。ただトレードで考えると金利差が縮小したとは言え1年間で持ち値が▼4円も「円高」に持って行かれる「ドル円ショート」は手掛けにくい。だから 「円キャリートレード」は止まらない? - マーケットに広く浸透するモラルハザード(倫理の欠如)|損切丸 こんな「スーパー円安」が維持されている
日銀が大幅利上げするとか「オルカン」「S&P」の損切りが出るとか、あるいは一気に50兆円も「円買い介入」するとか、そういう絶妙のタイミング以外「円買い」には入りにくい。だが "神の手" =「需給」と「バリュー」を信じるならこんな「円安」はいずれ是正される。是正されないとすればそれは日本が "本物の危機" に直面する時。考えたくも無いがその時はこの国を出て行かなければいけないかもしれない。そうならない事を信じて
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