【読書記録】初読み作家さん開拓:た行
読書の幅を広げるべく「初めて読む作家さん」をあいうえお順で開拓しています。Xの #読了 タグで掲載しており、2023年11月開始 ⇒長く中断したのち最近再開しました。
せっかくなのでnoteでまとめてみます。写真は基本的に白ネコチャンと本。
◀前回|【読書記録】初読み作家さん開拓:さ行
・普段の読書ではノンフィクション(社会心理学や行動科学、現代思想)やドイツ幻想文学などを好みます
・「現代」「日本の作家さん」中心で開拓…できれば若手の方
・文学賞を受賞している作品を優先的に

【た】高瀬隼子/め生える
感染症の蔓延により、人類全員が「無毛」になった世界。外見の呪縛から解き放たれ、新たな価値観に開放感を抱く主人公だが…。
ごっそりと髪が抜け落ちる描写は生々しく、一種のホラーのよう。全員が平等に無毛なら「はげ」は蔑称ではなくなるのか?やがて毛が“生える”者への逆差別や同調圧力など、特異なif設定を通じて人間の業を鋭く突いており、「読ませる」「考えさせる」作品でした。

【ち】知念実希人/ひとつむぎの手
現役医師にしてミステリーの名手が圧倒的な解像度で紡ぐ医療ヒューマンドラマ。大学病院の激務の中で葛藤する若き心臓外科医が、後輩の指導やシビアな命の選択を通じて「医師の原点」を見つめ直していく。
シンプルに「読んでよかった」と思える、温かく力強い物語。命と真摯に向き合いながらもがく彼らの姿に胸が熱くなる。
人の命を預かるプレッシャーに比べたら微々たるものだけれど、わたしも明日からまたお仕事がんばろう…と前向きな気持に。

【つ】鶴川健吉/すなまわり
力士の道をあきらめ「行司」として相撲部屋の門を叩いた主人公。閉鎖的で厳格な角界の裏側を、当事者の視点から淡々と、かつ克明に描き出す稀有な青春小説。
わたしたちには本当に未知の世界。元行司である著者の実体験に裏打ちされた描写は、驚くほど解像度が高いものでした。
土俵上でしか触れられない肉体が激突する衝撃や、力士たちの荒々しい息遣い。無駄のない端的な言葉で鮮やかに紡がれます。

【て】寺地はるな/川のほとりに立つ者は
恋人の隠し事をきっかけに、「当たり前」や「普通」という言葉によって無自覚に切り捨てられてしまう人々の苦悩と、すれ違う人間模様を丁寧にすくい上げた物語。
他者と向き合うことで生じる痛みや、どうしても分かり合えない断絶を誤魔化さずに描きつつも、その先にある確かな希望を見せてくれる。「理解」が問われる今の時代にこそ深く刺さる、とても切実で誠実なヒューマンドラマでした。

【と】遠野遥/破局
表層的なルールには従いつつも、その意味を解さず他者への共感が決定的に欠落している主人公。恋愛や友情、社会的地位を完璧に築こうとする機械的な日常が、静かに「破局」へと向かう様を描く。
平易な文章だからこそ、主人公の不穏で倫理観の抜け落ちた心理がただ恐ろしい。理性的であるほど狂気を孕んでいく冷徹な視点が見事で、現代の虚無感を鋭く抉り出す、これぞ「THE 純文学」と呼べる一冊です。
た行で一番好きだったのは #知念実希人 さんでした。普段はXで見かけるイメージでしたが()作家さんとしての作品が何より好きかもしれない。
その他、掲載している作家さんがもともと好き!という方がいらっしゃいましたら、次は(本当は)これおススメというのをぜひ教えてください🙏
まとめるスピードが追いついておらず、2026年5月下旬現在、Xでは「や」まで届いているのでまたnoteにまとめます。
▶次回|【読書記録】初読み作家さん開拓:な行
