ファンタジー小説のご紹介
私はいくつかのファンタジー物語を書いています。
中心にあるのは、カルナリアというファンタジー世界です。
魔術があり、結界都市があり、軍や制度があり、
その中で人々が暮らしています。
一方で、カルナリアとは別の世界を舞台にした作品もあります。
作品ごとに、雰囲気や読みやすさはかなり違います。
本記事では、それぞれの作品を簡単に紹介します。
はじめに読みやすい作品
山を下りた魔術師
初読難易度:★☆☆
雰囲気:傾聴/再出発/茶屋/静かなバディ/少しシュール
五年間の山籠もりを終え、町へ下りてきた魔術師の短編連作です。
冒険者ギルド。
町外れの茶屋。
夕暮れの水路。
黒猫。
王都から来た宮廷魔術師。
舞台は、よくある異世界ファンタジーです。
けれど、彼女が探していたのは、
次の修行を与える師匠でも、
強い冒険者でもありませんでした。
やがて魔術師は、一人の旅人と出会います。
少しずつ町に居場所を見つけ、
自分の速度を保ったまま、
もう一度世界と関わっていく物語です。
※カルナリアシリーズとは別世界の物語です。
こんな方へ
少し変わった主人公が好きな方。
大きな事件と、平熱の会話の落差を楽しみたい方。
誰かが誰かを導くのではなく、隣にいる物語を読みたい方。

首都夜警
初読難易度:★☆☆
雰囲気:捜査/軍/警察/夜の首都/社会派ファンタジー
午後十一時四十八分。
首都の夜道で、一人の魔術師が四人組に襲われます。
金品は奪われていない。
犯人たちは、彼が魔術師であることを知っていた。
事件を追うのは、首都魔術師隊長グラントと、その部下たち。
そして首都警察隊です。
小さな手がかりを追ううちに、
捜査は、魔術師をめぐるこの国の制度や、人々の意識へと近づいていきます。
大きな謎解きよりも、
事件を追う人々の仕事と、その向こうにある社会を描いた物語です。
こんな方へ
テンポのよいファンタジーを読みたい方。
捜査ものや、軍・警察が協力して事件を追う話が好きな方。
カルナリアという国を、まず社会の表側から見てみたい方。

市井の魔術師 — カルナリア街角綺譚 —
初読難易度:★☆☆
雰囲気:日常/市井/暮らしの中の魔術
街で起きる小さな魔術の問題を扱う、
市井の魔術師リオンの物語です。
焼けすぎるパン窯。
夜になると子守唄が聞こえる家。
古い結界に残された祈り。
彼が扱うのは、国家を揺るがす事件ではありません。
人々の暮らしの中に残った、目に見えない困りごとです。
古いものを壊して新しくするのではなく、
残すべきものを見つけ、現在の生活と結び直していく。
カルナリアの街の温度を、もっとも近い場所から描く連作です。
こんな方へ
静かなファンタジーが好きな方。
暮らしの中にある魔術を読みたい方。
まずは短く、世界観に触れてみたい方。

しろみ
初読難易度:★☆☆
雰囲気:お茶/静けさ/水位回復/小さな休憩所
白い小さなきのこのような存在です。
お茶を出したり、ただそこにいたりします。
何かを解決してくれるわけでもありません。
けれど、少し疲れた時に、
そっと水位を戻してくれるような場所です。
※カルナリアシリーズとは別世界の物語です。
こんな方へ
静かなものが好きな方。
お茶や白湯や、小さな休憩所のような空気が好きな方。
物語の外で、少しだけ息をつきたい方。

カルナリア世界を深く読む作品
女神と番 — Resonantia —
初読難易度:★★★
雰囲気:神話/軍務/共鳴/静かな関係性
首都魔術師隊の隊長ランス・ヴァレンと、
百年ぶりに現れた女性魔術師エレイン・アルディアを中心とした長編です。
国家に守られ、同時にその力を必要とされてきた二人。
火を封じるランスと、
水のような深みを持つエレインは、
魔力の共鳴を通して、少しずつ互いの存在を知っていきます。
戦争や国家級結界を扱う大きな物語である一方、
中心にあるのは、二人の身体、沈黙、距離、そして生活です。
守られることと、管理されること。
役割を与えられることと、自分で選ぶこと。
軍人であることも、
誰かの隣にいることも。
国家に定められた役割だけではなく、
一人の人間として「どう生きるか」を選び直していく物語です。
こんな方へ
静かな関係性が好きな方。
人物の距離や身体感覚をじっくり読みたい方。
神話と行政、軍務と生活が同じ世界にあるファンタジーを読みたい方。
「守ること」と「その人の自由」の境界を描く物語が好きな方。

結界都市断章
初読難易度:★★☆
雰囲気:制度/職能/記録/大人たちのファンタジー
異なる立場から、
カルナリアという国を支える人々を描く短編連作です。
軍服を仕立てる人。
式次第を整える人。
報告書を書く人。
食堂で兵士たちの盆を見る人。
彼らは、戦場の中心に立つ英雄ではありません。
けれど、誰かの力を安全に運用し、
誰かの功績を記録し、
誰かが明日も働けるように支える仕事をしています。
制度と生活のあいだで、
それぞれの責任を引き受ける人々の物語です。
こんな方へ
世界がどのように支えられているのかを見るのが好きな方。
戦いそのものより、戦後処理や制度や生活が気になる方。
大人たちが責任を持って世界を支える話が好きな方。

どこか気になる入口があれば、そこから物語に触れてもらえれば嬉しいです。
カルナリア王国の世界観や制度については、こちらの記事で紹介しています。
