カルナリア王国案内|私のファンタジー世界について
私の小説は、基本的にすべて、カルナリア王国という同じ世界を舞台にしています。
魔術があり、結界都市があり、王宮や軍、研究機関、医務局、市場や食堂があります。
古い神話と近代的な制度。
国家を揺るがすほどの力と、毎日の食事や衣服。
そうしたものが、同じ地面の上に存在している世界です。
この記事では、小説を読むときの簡単な地図として、カルナリア王国について紹介します。
結界によって守られた国
カルナリア王国は、国土全体を覆う大規模な結界によって守られています。
各地に置かれた結界柱は首都へとつながり、その流れを魔術師たちが日々観測し、調整しています。
結界は、敵を防ぐための壁であるだけではありません。
街の安全を保ち、建物や生活設備を支え、ときにはパン窯の火加減や、古い家に残る記憶にも関わっています。
市民にとって魔術は、遠い神秘であると同時に、暮らしの中にあるものです。
市場の石畳の下にも、古い建物の壁にも、軍の庁舎にも、目には見えない流れが通っています。
この国では、その流れを保つことが、日々の仕事のひとつになっています。

魔術師は、国家によって管理されている
カルナリアでは、魔力を持つ者は幼い頃に発見され、国家魔力管理局の管理下に置かれます。
特に、攻撃魔術や高出力の魔力を持つ者は、本人や周囲の安全のため、早い段階から専門的な教育を受けます。
魔術師は強い力を持つ存在です。
同時に、その力によって恐れられ、国家から管理される存在でもあります。
守ることと、閉じ込めること。
保護することと、本人の意思を奪うこと。
カルナリアの制度は、その境界で何度も揺れています。
制度は人を守るために作られます。
けれど、正しい制度が、いつまでも正しいとは限りません。
成長した人を、幼い頃のまま保護し続けてよいのか。
国家に必要とされる者は、どこまで働くべきなのか。
強い力を持つ者にも、生活や休息を求める権利はあるのか。
カルナリアの物語では、そうした問いも描かれています。

首都魔術師隊
首都カルナリアの結界防衛と魔術運用を担っているのが、首都魔術師隊です。
濃紺の軍服を身につけた彼らは、戦時には前線へ立ち、平時には結界の観測や補修、事故対応を行っています。
魔術師といっても、全員が英雄というわけではありません。
市場の支柱を調べる者。
夜間の観測を担当する者。
記録を整理する者。
彼らを支える副官。
さまざまな人の仕事によって、首都の結界は保たれています。
首都魔術師隊には、最高位魔術師として国際登録された者も所属しています。
けれど、この部隊が機能している理由は、強い魔術師がいるからだけではありません。
規格外の力を記録し、運用し、事故を防ぎ、休ませ、日常へ戻す。
そのための多くの人と制度があるから、この国の魔術は、社会の中で使われ続けています。

神話と制度のあいだ
カルナリアには、建国にまつわる古い伝承があります。
この国のはじめに、一人の女性がいた。
彼女は澄んだ水を手に、丘の石の窪みへ注ぎ、祈った。
そのとき、目に見えない境界が立ち、この土地が守られたといわれています。
今では、結界は軍と魔術師によって管理されています。
観測装置があり、運用手順があり、国際的な規則があります。
けれど、そのさらに奥には、現在の理論だけでは説明しきれない古い層が残っています。
水。
火。
泉。
祈り。
境界。
神話は、過去の物語として静かに残りながら、ときどき現在の制度や人の身体へ触れてきます。
カルナリアでは、説明できないものを、すぐに神聖なものと決めるわけでもありません。
反対に、説明できないからと切り捨てるわけでもありません。
分からないものを分からないまま観測し、記録し、扱い続ける。
そういう国でもあります。

この国を支えている人々
カルナリアを支えているのは、王や軍人、魔術師だけではありません。
軍服を縫う人。
食事を作る人。
記録を残す人。
街の結界を修繕する人。
観測中の魔術師に、なんとなく道を空ける市民。
国は、大きな力や決定だけで保たれているわけではありません。
誰かの身体に合う服を作ること。
疲れた者が食べられるものを用意すること。
異変を記録し、翌日へ引き継ぐこと。
そうした、名前の残らない仕事や日々の判断によっても、この国は支えられています。

カルナリアを舞台にした物語
現在、カルナリア王国を舞台に、いくつかの作品を書いています。
物語ごとに描く場所や人物は異なりますが、すべて同じ世界の中で起きています。
この世界で描いていること
カルナリアの物語で繰り返し描いているのは、
分かたれたものたちが、境界を失わずに、どうすれば触れ合えるのか
ということです。
人と人。
個人と国家。
神話と制度。
力と生活。
守る者と、守られる者。
それらは、完全に一つになることはありません。
相手のすべてを理解することもできません。
それでも、離れたまま関係を結ぶことはできるのか。
境界を壊さず、相手を自分の形へ変えずに、共に在ることはできるのか。
カルナリアという国を通して、私はそのことを書いているのだと思います。
この案内を通して、カルナリアの世界に少しでも興味を持ってもらえたらうれしいです。
カルナリアの原風景にある音
序盤を書いていたころ、ずっと流していた作品です。
別の方による音楽ですが、私の中ではカルナリアの空気と深く結びついています。
カルナリアの時系列
カルナリアを舞台にした物語が増えてきたため、作品同士の時系列をまとめています。
『女神と番 ― Resonantia ―』を基準に、過去の出来事や各作品の位置関係、人物たちの経歴などを整理した年表です。
作者用の整理も兼ねているため、作中ではまだ描かれていない設定や、今後書く予定の内容も含まれています。
物語同士が、カルナリアという同じ時間の中でどうつながっているのか気になった方はこちらから。
