『GOAT』 2026 Winter,2026 Summer
『GOAT』で、個人的に面白かった作品のメモてす。だいぶ遅くなってしまいました。
過去の2冊のメモ、雑感はこちらです。
『GOAT 2026 Winter』
まず、こちら。
私が気に入った作品は、「Beauticide」(九段理江)。近未来テーマの氏の芥川賞受賞作『東京都同情塔』と異なり、現在形で進む作品なので、よりリアリティが感じられる。
清冽に流れる文章の美しいこと美しいこと。一つ一つのワードの躍動感のあることあること。
美と正義というテーマに、ロシアのウクライナ侵攻を絡ませる視座にも感銘を受けました。
「Beauticide』。バンド名とかにいいんじゃないでしょうか?
この号で個人的に気に入った作品が、僅か一作。あくまでも、私個人の嗜好なので、作品の芸術性や作家の力量とかの話ではありません。
まさか、本号の特集テーマ「美」と私との相性が良くない😵 ということではないとは思いたいですが。
『GOAT 2026 Summer』
ところがこちらは、10作品!
「ゆんちゃん、お弁当」(前川知大)
本号の最高傑作。亡くなったおばあちゃんとの心温まる交流、と月並み過ぎる称賛の言葉しか浮かんでこないのは、この作品の普遍性の高さ故か? と自分に都合のいい感想😁
おばあちゃんのお弁当が腐らないこと、おばあちゃんが交通事故に遭うシーンの不思議さは、物語にかけられたスパイス👏
「GULA」(小田雅久仁)
何でも食べる神よりも悪魔よりも恐ろしいAIの所業 と、パラレルワールドにおける整合性のストーリーがお見事。
「かた焼きそばを捨てるとき」(佐久間由衣)
結婚・出産などライフステージの変遷で忘れられていた、かた焼きそば。日常生活での主人公の家族模様より、スキンヘッド先輩の存在が印象的だった。
「ゴースト・イン・チェーン」(上條一輝)
ファストフードチェーンの広報部員が体験した、パラワールドの異次元ストーリー。推理小説のように引き込まれてしまう。人の思念とはエネルギーなんだなと、自分流ながら至極、納得できて気持ちのいい読後感。
「パフェ・イン・パラレル」(方丈貴恵)
座敷童が活躍するが、男二人と女一人、京都の高校の同窓生達の、SNS絡みのプチミステリー。思わぬトラブルのためとはいいつつ、「そこまでこじらせるか?」と疑問符が浮かびながらも、読ませてくれる作品。
「猫が大腸に棲みついた日」(青柳碧人)
このタイトルだけで、一切の解説は不要、のような気がします。大腸カメラに映った猫。それでも、パラワールドは出てくるし、子供の拉致監禁事件を解決したりのプチ冒険譚ながら、作家による「★本作は、ほとんど実話です」の注釈、ホンマかいな😲
「今じゃない。ここじゃない」(伊藤亜和)
「わたしの偏食」テーマのエッセイ。「食べ物見知り」モードという造語は秀逸。トマトパスタは私も好きです。
「食い扶持」(中西智佐乃)
令和の今でも、「食い扶持」という、長年、私の記憶の底に沈んでいた言葉が、作品の中で飛び回っている。昨日、猛暑の中、ほぼ2時間、実家の庭のブルーベリーを収穫したことを思い出した。毎年、スーパーで買うと数万円か数十万円になるであろうブルーベリー。対価を得る労働ではないが、作業は大変だ。
「ミツバチに会いにいく」(吉川トリコ)
世田谷にある養蜂場でのルポ。ミツバチの生態を書籍からの知見を交え、興味深く解説してくれています。採れた月ごとに色も味も違うとは!
「ファイア・ドーム」(辻村深月)
1994年、北陸のある地方都市で起きた百貨店受付嬢誘拐殺人事件と、2019年の小学校の先生と生徒。わずかこれだけでもイントロを読まされれば、書店で買いたくなりますわな。巻末に小学館さんのマーケティング施策。『GOAT』は安いんで、それくらいの販促策は当然てしょう👍
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