【小説】Lv13 旅立ち|先生、冒険の続きを。~31年目のサンスーファンタジー~|第2章 異世界突入 編
【これまでのお話】
第2章 異世界突入 編
Lv13 旅立ち
ヨンヨン城の奥ーーーーー
城の奥から聞こえる、
低く響く声の正体。
一体、誰が話しているんだろう。
息を潜めてその姿を見つめた瞬間、
僕はあっと息を呑んだ。
「先生……!?」
そこにいたのは、
間違いなく僕たちの先生だった。
サンスーファンタジーの、
この数式の異世界の中に、
まさか先生も来ていたなんて。
けれど、何かがおかしい。
昼休みに僕たちと、
まぶしい笑顔で
サッカーボールを追いかけていた
あの先生とは別人のような…
見たこともない真剣な様子で
誰かと対峙している。
先生が頭を下げて話していた相手。
それは、きらびやかで
厳かな衣装を身にまとった、
この国の支配者――
『ヨンヨン王』
だった。
静まり返った空間に、
ヨンヨン王の重々しい声が響く。

「よしきちよ。
お前をここへよんだのは、
ほかでもない」
「今すぐオクチョー国へ行き、
あの『神のボール』を
持ってくるのじゃ」
「神のボール?」
それは、
王の話によると、
それはかつて神が
『心のきれいな
33人の子どもたち』
に授けたと言われる伝説のボールだった。
その33個のボールをすべて集めたとき、
この世界は永久に平和になると
言い伝えられているらしい。
そして今、そのうちの1つを、
隣国であるオクチョー国の王子が
所有しているという。
「よしきち?」
先生の名前は「よしき」だよ。
いや、待てよ……
僕の脳裏に、
強烈な電流が走った。
そうか、
そういうことだったのか。
サンスーファンタジーの
世界の中に描かれていた先生は、
この世界における始まりの勇者
『勇者よしきち』
だったんだ。
戸惑う僕を置き去りにして、
会話は続く。
勇者よしきちは、
少し曇った表情で王を見上げた。

「しかし、それほど大切な
ボールを、すんなりと
わたしてくれるでしょうか……?」
その問いに対して、
ヨンヨン王の返答は実に冷酷だった。

「なーにを甘いことを
言っておる。
すべては世界の平和のためだ」
王の目が、怪しく光る。
「……力ずくでも、うばってこい」
なに!?
世界の平和のためなら、
力ずくで奪えというのか。
固まるよしきちに向かって、
非情な王は、
「修行をしたら、
すぐに出発するのじゃ」
その瞬間、王が腕を振ると、
僕の目の前の空間に、
ずらりと『あるもの』が浮かび上がってきた。
……計算問題だ。
893 723 907
× 42 × 80 × 63
100 - 37 94 + 57 98-49
ドクン!
と胸が鳴った。
間違いない。
やっぱりそうだ。
これは、10歳の僕が
現実世界のあの教室で、
机の上に広げて鉛筆を握りしめていた
先生の手書きプリントと、
全く同じ数式だったんだ。
さあ!旅立て!!
Lv13:旅立ち 完 / Lv14へ続く
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