読書【私はチクワに殺されます / 五条紀夫】 《その穴から見えるのは、あなたが望んだものですか…?》
読了日:2026年6月3日
【私はチクワに殺されます / 五条紀夫】

小説家である五条紀夫さんによるサスペンス小説。チクワの穴を覗くと人の死が分かる男の物語。こいつは一体何を書いているんだと思ったそこのあなたへ、私も同じ気持ちです。
まず、こんなタイトルなのに信じられないくらいグロい。描写があまりにも鮮明で、人によっては気持ち悪くなってしまうこともあると思う。ただ、それさえ平気なら一読の価値あり。
そして、内容としてはタイトル通りなかなかの奇書。ずっと主人公が変だし、当然のことながら何も感情移入ができない。無い世界の話すぎてSF読んでる感覚になりかけた。奇書すぎてキショい。
全5章からなる200ページ程度の短い話で、それぞれの章はさほど複雑ではないものの、それら全体を通してみると少し難解になるような、割と不思議な作りになっている。だから途中からは結構チクワクワクした。
短い小説ながら展開がしっかりあって、私達を飽きさせない。なんなら短いからこそ、現代の読書離れに一石を投じられるような希望もある。私達みたいなドパガキには目まぐるしい展開がちょうどいい。
もちろん現実世界でこんなことは起こらないけれど、主人公の男が人の死を知ることができるチクワと出会った後のように、何かのきっかけで“どんどん異常性を増していく流れ”は、誰にでも起こり得ることで、自制が効かなくなることもきっとある。周りの人間が気づいて止められるかが何よりも大事な要素。手遅れな時も当然あるのは承知のうえで。承知してるからあんまり怒らないでください。ゆとり世代だからさあ。
いつどこでどういったきっかけでこの話を思い付いたのか流石に知りたすぎる。よくある表現をするならば、「何食ったらこんな話思い付くんだよ」です。作者の頭の中を覗いてみたい。そう、チクワを覗くみたいにね。
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