ディストピア小説4選
月がテーマの濃厚なディストピア小説
残月記 小田雅久仁
テーマは月。計り知れぬ想像力で紡ぎ出される独特な異世界描写。迫真のディストピア小説であり、スリリングな格闘技アクションであり、切なすぎる恋愛文学。濃厚かつ圧倒的な物語世界にお腹いっぱい。一度読んだらもう以前と同じように月を見上げることは出来ない。
仄暗く悲しい震災と原発事故後の近未来
『献灯使』 多和田葉子
震災と原発事故で鎖国を続ける近未来の日本。老人は百歳を過ぎても健康で、子供たちは学校まで歩く体力もない──
洒落た皮肉の裏には強いメッセージ性があり、現実的な示唆に富んでいる。氷が透き通るように美しく、ほの暗く哀しく、幻想的なディストピア小説。
人の命に重さはあるのか
『虐殺器官』 伊藤計劃
舞台は9.11テロ後、監視社会になった世界線。
かりそめの平和を享受する裏側、
巧妙に隠された恐ろしい世界の仕組み。
多くの死と愛する人の死の区別。
誰かの犠牲の上に成り立つ社会。
自由意志とは、本当の正義とは。
究極のトロッコ問題を編み込んだSF小説の最高峰
監視社会に警鐘を鳴らす不朽の名作
『一九八四年』 ジョージ・オーウェル
支配と洗脳。
人間としての矜持や尊厳を根底から失ってしまう。
なのに、まるで人間性の円環に閉じ込められたように、痛切だが美しい。
社会というものは、自分自身を引き延ばし、増幅させたものにしかなり得ないのではないか。
監視社会批判は現代にも通ずる。スマホを通じて私たちの情報は漏れている。しかし、それをもう手離すことはできない。
監視社会に警鐘を鳴らし続け、考えさせられる。後世に語り継がれるべき名作。
タイトル・著者まとめ
残月記/小田雅久仁
献灯使/多和田葉子
虐殺器官/伊藤計劃
一九八四年/ジョージ・オーウェル
以上です。
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