2025年に読んだ小説

2025年に読んだ小説であまりにすごかったもの、数えてみたら6作ありました。基準があるわけではないですが、こういうのは突出するもんなので。

■明日美言「芥子」
大学生が書いて文フリで売ってた小説。良すぎて作者から在庫を買い取って勝手に配りました。こういう書き手を応援していくのが、読み手としての使命だと思っています。2作目も読んで実力を確信しましたが、やはり1作目の芥子のインパクトが強いです。今月の文フリ京都で長編3作目が出るそうなので、今から楽しみでなりません。新刊を楽しみにさせてくれる作者がいる幸せ。


■三木卓「震える舌」
個人的に滅多刺しにされる内容を、よりによって自分の好きな作家が書いてたら、そりゃあしょうがないです。ホラーというジャンルでくくられることはないと思いますが、今年読了した他のすべてのホラーを凌駕してこれが一番怖かったし、年イチ読むのがしんどかった。もう二度と読みたくない。映画も観るつもりない。


■津原泰水「瑠璃玉の耳輪」
ずっと言ってますがこの人は文章が上手すぎる。上手いと知ってて読んでるのに、読むともっと上手い。なんで死んでしまったんや。今年は、もったいながりでとっておいた本を放出していく年にしようとなんとなく思っているので、遺作をもっと読んでいきます。辛いけど、本は読み返せるということを肝に銘じて、やる。


■畠山丑雄「改元」
某選書で出会いました。まだこの人の小説はこれしか読んでいないので、好きな作家になるのかは不明ですが、現時点とても期待しています。読んでいる時の陶酔するような感覚、これを味わえる小説にはそうそう出会えません。わがままな外野からの理想を言えば、芥川賞なんか獲らずになんとか自分の書きたいことを書き続けてほしい。エッセイも良かった。生き残れる。いける。


■山﨑修平「テーゲベックのきれいな香り」
某選書で出会いました2。書いてしまうことから逃れるために書かないように書いている小説。もしかすると今後あんまり小説書いてくれないかもしれないけど、書いてくれる限りは買う。この人の小説は代えが利かない。意味なんてつまらんもんを置き去って一瞬一瞬の面白さが高速で点滅し続ける文芸ドラッグ。


■尼子猩庵「デーヴァダッタ」
web文芸誌「anon press」で11/19に公開された短編一本が滑り込みで2025年のベスト作品になりました。比喩的にも文字通りにもスケールが違う怪作。世界を飲み込み返す、たかだか4万文字の化物。星野智幸「夜は終わらない」のトポロジー違いの親戚。ノーマークの作家でしたが、読みたい本を読んでくつもりの今年は尼子猩庵の作品をkindleで一通り買うことから始めたいと思います。この作品を生み出した作家にも、この作家にひらけた場を与えたanon pressにも、そのanon pressを購読して存続を支えた読み手たちにも、全員に感謝しています。出会えました、ありがとう。
※通常は月500円ですが、キャンペーン期間中なので今なら無料で読めるようです。



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