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風俗嬢への優しさが、いつのまにか「採点」になるとき―褒め言葉、プレゼント、アドバイスに隠れた北風

前回の記事では、「また来てもいい?」「無理しないでね」「迷惑なら言ってね」という言葉について書きました。

どれも一見、優しい言葉です。
でも、その奥に「大丈夫だよと言ってほしい」「また来てねと安心させてほしい」という気持ちがあると、女の子にとっては答えづらい確認になる。

今回も、テーマは同じです。

お客様は善意のつもり。
気遣いのつもり。
好意を伝えているつもり。

でも、女の子側からすると苦しくなることがある。

それは、優しさがいつのまにか「採点」や「取引」になっているときです。

たとえば、接客のあとに、
「今までで一番よかったよ」
「ほかの女の子と全然違う」
「前に入った子よりずっと楽しかった」
と言われることがあります。

たぶん、お客様は褒めてくれているのだと思います。

実際、「一番」と言われたら嬉しい女の子もいるでしょう。特別だと思ってもらえること自体は、悪いことではありません。
でも私は、こういう褒め方をされると、少しだけ微妙な気持ちになります。

あ、比べられているんだ。
今日の私は、採点されていたんだ。

そう感じてしまうからです。


褒めているつもりが、比べている

心理学者フェスティンガー(1954)は、人は自分を理解するとき、他者との比較を使うと考えました。これを社会的比較理論といいます。

人間にとって、比較はとても自然なものです。

誰かより上手くできた。
誰かより評価された。
誰かより特別に扱われた。

そう感じると、嬉しくなることもあります。
でも、比較には怖いところもあります。

比較で褒められると、褒められているはずなのに、「自分もどこかで比べられている存在なんだ」と意識してしまうからです。

「ほかの女の子と全然違う」
「前の子よりよかった」
「あの店の子よりレベル高い」

こういう言葉は、言っている側からすると、目の前の女の子を上げているつもりかもしれません。

でも、女の子からすると、
「今日は上に置かれたけど、次は下に置かれるかもしれない」
「私も誰かを上げるための対象にされているかもしれない」
という感覚が残ることがあります。

しかも、他のキャストを下げる褒め方は、少し居心地が悪いです。

同じ仕事をしている女の子を下げられても、素直には喜びにくい。むしろ、「この人は女の子を比べて点数をつける人なんだな」と感じてしまうこともあります。

褒め言葉は、本来あたたかいものです。
でも、そこに比較が入った瞬間、あたたかさよりも評価の目線が強くなることがあります。

本当に褒めたいなら、比べなくていいと思います。
「今日、すごく楽しかった」
「一緒にいると落ち着く」
「話し方が好き」
「また会いたいと思った」
これで十分です。

誰かと比べない褒め言葉のほうが、女の子にはまっすぐ届くことがあります。

プレゼントが、請求書になるとき

もう一つ、善意の北風になりやすいものがあります。

プレゼントです。

誕生日に何かを渡す。
差し入れを持っていく。
女の子が好きだと言っていたものを覚えていて、次に持っていく。

こういうことを嬉しいと感じる女の子は多いと思います。

ただ、プレゼントは少し難しいです。

なぜなら、渡す側は善意のつもりでも、受け取る側には「返さなければいけないもの」が生まれることがあるからです。

心理学者クラークとミルズ(1979)は、人間関係には大きく分けて、共同的関係と交換的関係があると考えました。

共同的関係では、相手を思って何かをします。
見返りを細かく計算しません。

一方、交換的関係では、与えたものと返ってくるもののバランスが意識されます。

もちろん、お店の関係はお金を介した関係なので、完全な共同的関係ではありません。そこは大前提です。

でも、だからこそ、プレゼントには注意が必要だと思います。
「喜んでくれたらいいな」で終わるプレゼントは、まだあたたかいです。

でも、
「この前のプレゼント、使ってる?」
「けっこう考えて選んだんだけど」
「これだけしてるんだから、少しくらい特別にしてほしい」
こうなった瞬間、プレゼントは気遣いではなく、請求書のようになります。

渡した側は、そこまで直接言っていないかもしれません。

でも、反応を何度も確認する。
使っているかを気にする。
思ったより喜ばれないと、少し寂しそうにする。

こういう態度は、女の子に伝わります。

すると女の子は、プレゼントそのものよりも、その後の対応に気を遣うようになります。

ちゃんと喜ばなければいけない。
次に会ったとき、お礼を言わなければいけない。
ほかのお客様より特別にしないと悪いのかな。

こうなると、プレゼントは女の子を楽にするものではなく、女の子に仕事を増やすものになります。

本当の贈り物は、渡したところで終わります。

喜んでくれたら嬉しい。
でも、思った反応が返ってこなくても責めない。
使うか使わないかは、相手の自由。

そこまで含めて、プレゼントなのだと思います。

なので、私はプレゼントはすべて断るようにしています。
最初はお客様に微妙な表情をさせてしまいましたが、今の本指名のお客様はみなさんわかってくれています。

アドバイスは、心配よりも評価に聞こえることがある

女の子から仕事の愚痴を聞くと、何か言ってあげたくなる男性もいると思います。

「その店、辞めたほうがいいよ」
「昼の仕事を探したら?」
「もっと自分を大事にしなよ」

もちろん、本当に危険な状況なら、逃げたほうがいい場合もあります。心身を壊すほど無理をしているなら、周りの助けが必要なこともあります。

でも、女の子が少し愚痴をこぼしただけのときに、すぐに人生のアドバイスをされると、少ししんどいです。

なぜなら、その言葉には、
「今のあなたの選択はよくない」
「私のほうが正しい道を知っている」
という雰囲気を纏うからです。

言っている側は、助けたいだけかもしれません。
でも、受け取る側には、心配ではなく評価に聞こえることがあります。

風俗を続ける理由には、本人にしかわからない事情があります。

お金。生活。学費。家族。将来の予定。
外から見えるほど、単純ではありません。

そこを知らないまま「辞めたほうがいい」と言われると、
「私の人生を簡単に決めないで」
と感じることがあります。

ここでも、前の記事で書いたデシとライアン(1985)の自律性が関係します。

人は、自分の人生を自分で選んでいる感覚を大切にします。たとえ不完全な選択でも、自分で考えて決めているという感覚は、その人の尊厳に関わります。

だから、心配のつもりであっても、相手の選択を上から修正しようとすると、北風になります。

女の子が愚痴を言ったとき、まず必要なのは解決策ではなく、
「それはしんどかったね」
「よく頑張ったね」
「話してくれてありがとう」
くらいなのかもしれません。

助言は、相手から「どう思う?」と聞かれてからでも遅くありません。

※私が風俗で働く理由は↓

「話を聞くよ」が、扉をむりやりこじ開ける言葉になる

「何かあったら話聞くよ」
「俺には本音を話してほしい」
「力になりたい」

これも、とても優しい言葉です。

実際、女の子が救われることもあると思います。

お客様との会話の中で、少し気持ちが軽くなることはあります。仕事の話、家族の話、将来の話、人間関係の話。安心できる人に少し話せるだけで、楽になることもあります。

でも、「話を聞くよ」が北風になることもあります。

女の子が話したくなさそうなのに、
「何があったの?」
「俺には言えないこと?」
「信用されてないのかな?」
と掘り下げていくと、心配は詮索に変わります。

話を聞くというのは、話させることではありません。

女の子が話さない自由も、そのまま残しておくことです。

特に風俗の仕事では、お客様に話せることと話せないことがあります。弱音を少しこぼしたからといって、すべてを相談したいわけではありません。仕事の愚痴を言ったからといって、人生に踏み込んでほしいわけでもありません。

「話したくなったら聞くよ」

そう伝えたなら、そのあとは待つ。

話してくれないからといって、信頼されていないとは限りません。
ただ仕事とプライベートを分けているだけかもしれません。
自分の中で整理したいだけかもしれません。

太陽みたいな人は、扉の前に立ってくれる人です。

でも、扉をこじ開けようとはしません。

優しさに条件がついた瞬間、それは取引になる

今回書いたことは、どれもお客様が悪意でやっているとは限りません。

比較の褒め言葉も、プレゼントも、アドバイスも、「話を聞くよ」という言葉も、最初は善意から出ていることが多いと思います。

女の子を喜ばせたい。
元気にしたい。
助けたい。
特別だと伝えたい。

その気持ち自体は、私は否定しません。

でも、その優しさの先に、

褒めたのだから喜んでほしい。
あげたのだから反応してほしい。
心配しているのだから従ってほしい。
聞くと言っているのだから話してほしい。

こういう期待がついた瞬間、女の子は少し苦しくなります。

優しさが、評価になる。
気遣いが、口出しになる。
贈り物が、請求書になる。
傾聴が、詮索になる。

北風は、いつも乱暴な顔をしているわけではありません。

むしろ、やさしい顔をして近づいてくることがあります。

だからこそ大事なのは、自分の言葉のあとに、女の子の自由が残っているかどうかです。

比べずに褒める。
渡したら終わる。
求められるまで助言しない。
話してくれるまで待つ。

それだけで、女の子に残る圧はかなり減ります。

冒頭の「今までで一番だったよ」という言葉も、たぶん悪気はありません。

でも、もし本当に伝えたいのが「今日の時間がよかった」ということなら、比べなくていい。

「今日、すごく楽しかった」
それで十分伝わります。

優しさは、相手を動かすために使うと北風になります。
でも、相手の自由を残すために使えるなら、太陽になります。

優しさに条件がついた瞬間、それは取引になる。
私は、そこに気づける人ほど、女の子にとって安心できるお客様になっていくと思います。

※北風と太陽の話は↓

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