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「AIに仕事を奪われる」より先に考えるべきこと ― AIと働く人の分岐点

「AIに仕事を奪われるんじゃないか」という話を、最近よく耳にする。同僚から、部下から、ときには上司からも。不安の声は確かにリアルだ。

ただ、私はその問いに対して少し違う角度から考えるようになった。奪われるかどうかより、「自分がどちら側にいるか」を決める時期が来ている、という感覚がある。

ChatGPTが登場して以来、AIといえば「質問すると答えてくれるもの」という認識が広まった。検索の延長線、賢いアシスタント。
実際私も最初はそういう使い方をしていた。会議の前に論点を整理してもらったり、メールの文章を直してもらったり。
便利だが、あくまでも自分が動いて、AIが少し手伝う構図だった。

ところが、いまAIは別の段階に進みつつある。
対話型AIは入口に過ぎなかったと気づいたのは、自分でエージェント型AIを動かし始めてからだ。
エージェント型AIとは、人間が一々指示しなくても、目標に向かって自律的にタスクをこなしていくAIのことだ。以前の記事で、Mac miniを使って自分専用のAI秘書を構築した話を書いた。

あのときはまだ「秘書が一人増えた」感覚だったが、
いまは「チームが動いている」感覚に近い。わずか2か月で、だ。

現在、私の記事制作は3つのエージェントが分担して動いている。リサーチ担当、原稿制作担当、品質チェック担当、それぞれが役割を持ち、私は全体の方向性を決めてGOを出すだけだ。以前なら一本書くのに2〜3時間かかっていたものが、私の実働は30分程度になった。これはAIが私の仕事を「奪った」のではなく、私がAIに仕事を「設計して渡した」結果だ。

ここで管理職の経験が、意外なほどそのまま使えると感じている。管理職の仕事の本質は、誰に何を任せるかを設計することだ。部下の強みと弱みを見て、どのタスクを渡すか、何を自分で持つかを判断する。AIとの仕事設計も、構造は同じだ。

AIに丸投げしても機能しない。以前の記事で「丸投げしたら何も残らなかった」という失敗を書いたが、あれはAIの問題ではなく設計の問題だった。

何を渡して、何を自分が握るかを決めなければ、ただ動くだけで成果にならない

「AIと協働する人」と「AIに代替される人」の差は、AIを使っているかどうかではない。仕事を設計できているかどうかだと思っている。
AIはツールだから、使う側の設計力がそのまま結果に出る。
ChatGPTに質問して満足している段階では、実はまだ受け身だ。
AIを使っているのではなく、AIに使われている状態と言ってもいい。以前の記事でも触れたが、ツールが目的になってしまうと振り回される。

目的は仕事の成果であり、自分の時間を取り戻すことだ。

不安を感じること自体は悪くない。ただ、不安に浸かり続けても仕事の未来は変わらない。「奪われないか」と怯えるより、「どう使う側に回るか」を考えた方が、はるかに建設的だ。
エージェント型AIはこれからもっと普及する。自律型AIが当たり前になったとき、いまのうちに設計力を磨いておくかどうかが、数年後の働き方を決める分岐点になると思っている。

管理職として人に仕事を任せてきた経験は、AIとの協働設計にそのまま転用できる。仕事の切り分け方、任せた後のチェックの仕方、自分が持つべき判断とそうでない判断の区別。これらはAI時代においても、むしろ価値が上がるスキルだ。40代からでも遅くない。大事なのは、AIを「怖いもの」ではなく「チームメンバー」として見る視点に切り替えることだと、私は実体験から感じている。


和泉澤 裕(いずみさわ ひろし)
40代・都内IT企業の中間管理職。
「テック×ライフ」をテーマに、忙しさの中でも人生の時間を取り戻すために、思考・判断・生活をどう削るかを、実体験ベースで書いています。


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