「英語が読めない」は単語不足じゃなかった―― "知っている単語"に足を引っ張られる日、projectionで気づいたこと
知っている単語なのに意味が取れないとき、
それは語彙力ではなく"翻訳の固定観念"が邪魔していることがあります。
Projectionという単語で、それを痛感しました。
「投影」か「予測」。自分の中では長らくそれだけの単語でした。
ところが、こんな文章を読んで完全に止まりました。
There's a small projection on the left side of the wall.
投影……?予測……?
何度読み返しても意味が取れない。
脳が勝手に「スクリーンに何かを映している話」
として処理してしまって、文全体がちぐはぐになる。
前後の文脈を追っても、どちらでもしっくりこない。
知っている単語のはずなのに、文の意味がつかめない。
あとで辞書を引いたら、こんな意味が載っていました。
突起。張り出した部分。
知らなかった。
壁から飛び出した「出っ張り」をprojectionと呼ぶことが
あるなんて、考えたこともなかったです。
これ、けっこうよくあることだと思います
Projectionに限らず、こういうことは英文を読んでいると
ちょこちょこ起きます。
知っている単語が出てくる。
でも文の意味がどうしても通らない。
そういうとき、たいてい原因は同じで。
知っている訳語を当てはめたまま読もうとしているから、
文がおかしくなっている。
しかも厄介なのが、この3点セット。
「単語を知っているのに誤読する」
知らない単語なら即座に辞書を引きますよね。
でも知っている単語だと、「わかっているつもり」で読み進めてしまう
「辞書を引くのが遅れる」
「自分の理解が間違っているかもしれない」より
「この文章がおかしいんじゃないか」という方向に頭が向いてしまう
「わかったつもりで文全体の解釈がずれていく」
気づかないまま段落ごと誤読してしまう
一度「投影」というイメージが頭に入ると、
それを疑うのが本当に難しい。
最初に覚えた訳語の引力みたいなものがあって、
なかなか離れられないんですよね。
「一単語一訳」で覚えると、どこかで詰まる
単語帳で英語を覚えるとき、ほぼ必ずやるのが「英単語→日本語訳」
の対応付けですよね。
最初のうちはこれで十分だし、効率もいい。
ゼロから始めるとき、1語に1つの意味を結びつけるのは
正しい入り口だと思います。
でも、ある段階から、この覚え方が足を引っ張り始めます。
言葉って本来、ひとつの根っこから複数の意味が
枝分かれしていくものなのに、訳語をひとつ覚えた瞬間に
そこで止まってしまう。
Projectionで言えば、落ち着いて考えると全部つながっています。
意味映像を映す光を外へ出す
売上予測数値を未来へ出す
壁の出っ張り物理的に外へ出る
projection=「外へ出す動き」。
そのイメージさえあれば、どの使い方も一本の線でつながるんです。
でもそのイメージが最初に頭に入っていないと、
知らない使い方が出てきたとき対応できない。
特にProjectionは、映画館や、NetflixやYouTubeを
壁に映して楽しむホームシアター、あの「投影」の
イメージとセットで頭に入ってきます。
オフィスではモニターやスクリーン共有が主流になりましたが、
家で大画面を楽しむ用途でプロジェクター自体はまだ
身近な存在ですよね。実際に見たり使ったりした場面が
あるぶん印象が強く刷り込まれて、
別の使い方があるなんて、考えようとすらしない。
英語がわかるようになるほど、別の壁が現れる
正直、これが一番しんどいと感じています。
英語をまったく知らないうちは、知らない単語だらけで大変。
でも少しずつ読めるようになってくると、
今度は「知っているつもりで読み間違える」という
別の罠にはまりやすくなります。
知識が増えるほど、思い込みも増える。
英語が少しわかるようになった段階でつまずくのは、
むしろ自分が覚えてきたことに足を引っ張られているから、
というのが正直なところだと思います。
しかもここで必要になってくるのが、「1語に対して複数の意味を
持っておく」という、また別の覚え方。
勉強の質が変わるタイミングなんですが、これがなかなか進んでいる
感じがしない。時間もかかる。
「あれだけ単語を覚えてきたのに、まだこんなところで詰まるのか」
という感覚、ちょっとしんどいですよね。
じゃあどうすればいいのか
正直、完全な答えはまだ持っていません。
ただ、最近少し意識するようにしていることがあります。
文の意味が取れないとき、「この文章がおかしいのかな」より先に「自分の訳語が間違っているかもしれない」を疑うようにする。
これだけでも、辞書を引くタイミングが早くなった気がします。
それと、知っている単語に知らない使い方が出てきたとき、
「この訳語を追加しておこう」と更新するんじゃなくて、
「この単語はまだ知らない顔を持っているんだ」という感覚の
ほうを大事にする。
訳語を増やすより、「この単語は自分が思っているより広いかもしれない」という余白を持っておく。
今でも、projectionと見た瞬間に「投影」が最初に浮かびます。
たぶんこれはもう変わらない。
でもあのとき「壁の突起」に詰まった感覚は、
もう二度と忘れない気がしています。
それだけで、少し前より読める文章が増えた。
完璧な方法じゃないけど、それ以外の方法もまだ見つかっていません。
