定線観測8 酒と麺と街道と短歌2023
目的地に到達する以外に、何を目的に街道を歩いているのか。
初めて歩く道は新しい風景との出会い。
知人が住む街は久々の再開。
再訪する地域は異なる季節との出会い。
様々な目的がありますが、突き詰めると、生きた痕跡である足跡を残したい本能で歩いてます。
一方で、歩いている日々の目先の目的は何か、それがきっと酒なのです。

2023年は、東海道・西国街道 山陽道・長崎街道と、日本列島を東西横断で歩き、変わりゆく酒と食文化も楽しむことができた一年になりました。
初の試み、全ての店を104の短歌でふり返ってみます。
東海道

32年前の3月、日本橋から三条大橋まで卒業旅行で歩き始め、途中会社の新人研修が前倒しになり静岡県の蒲原宿で中断。
その1年後に2回に分けて、歩き終えました。
時が経ち、今度は日本橋に向かって歩き始め、当時の記憶が蘇ると思いきや、殆ど覚えていないものです。
人の記憶は、記録が無いと脆いものだと、痛感した街道歩きになりました。
2023.01.07
かねはち/静岡県湖西市
白須賀の 浜の香りと うの味覚
街道歩く 活力の素


2023.01.07
コンフォートホテル/愛知県豊川市
濃姫の 里の吟醸 胃に沁みて
明日はいよいよ 豊川稲荷


2023.01.08
三日日みかん畑/浜松市北区
三日日の 蜜柑畑で 疲れ果て
我力なり 豊川稲荷


2023.01.08
国民宿舎奥浜名湖/浜松市北区
奥浜名 遠州灘の 海の幸
天竜川の 銘酒と共に


2023.01.09
ラーメン亭吉相/浜松市東区
お昼時 肉のさわやか 行列で
今日も律儀に ビールとラーメン


2023.01.09
東海道線/磐田→東京
歩き終え 窓辺の友は 出世城
冬はやっぱり 冷初絞り


2023.02.23
若虎/静岡県掛川市
東海道 ど真ん中過ぎ 掛川の
朝ラーエリアで 昼ラーとビール


2023.02.23
旅ノ舎/静岡県掛川市
古民家で 暖かすぎる おもてなし
季節の味覚 会話とともに


2023.02.24
一番/静岡県島田市
古き良き 町の中華の 佇まい
優しいスープに 身体温まる


2023.02.24
大村庵/静岡県藤枝市
東海道 歩く仲間と 鉢合わせ
盃傾け 西へ東へ


2023.02.25
三笑亭本店/静岡市葵区
家康が 食べたかどうか 知らぬけど
三笑亭の ステーキ旨し


2023.02.25
味楽亭はしもと/静岡市清水区
みなとまち 清水の夜は いと寒し
酒と刺身よ 我あたためよ


2023.02.26
三好食堂/静岡市清水区
道筋に 香り漂う オムライス
それ振り切って 今日もラーメン


2023.03.11
安田屋/静岡県沼津市
蕎麦屋でも ラーメン頼む 背徳感
スープにほんのり お蕎麦のかほり


2023.03.11
セレクトイン三島/静岡県三島市
峠前 三島の夜は 大人しく
部屋でタコハイ 野球観戦


2023.03.12
御番所茶屋/神奈川県箱根町
関所超え 下山を控え 酒飲まず
大福アテに 煎茶三杯


2023.03.12
水明荘/神奈川県箱根町
峠降り 小田原の友 待合せ
昔話と 未来を語る


2023.03.13
JAH/神奈川県二宮町
ずぶ濡れで 駆け込む店は あたたかく
ついつい長居 飲みすぎたなり


2023.03.13
せんべろの殿堂波平/神奈川県茅ヶ崎市
一軒め 立ち飲み入り 脚疲れ
二軒目せんべろ こりゃ心地よし


2023.03.14
街道や/神奈川県藤沢市
これほどに 入りたくなる 屋号なし
迷わず入店 ここ街道や


2023.03.21
八木商事/横浜市神奈川区
八木牧夫 我らが師匠 会いに寄り
ビールで歓迎 いとありがたや


2023.03.21
吉田飯店/横浜市神奈川区
横浜の 最初の居留地 神奈川区
その面影は 今はいずこに


2023.03.25
おでん屋台/上野公園
歩き終え 友の出迎え 嬉しすぎ
その勢いで 上野で花見


琉球宿道

琉球王国時代に、首里城から海の玄関口那覇港まで至る道は、唯一の公道と呼ばれていました。
琉球の黄金の道と呼ばれた首里の綾門大道や、海中道路の長虹堤跡をなぞって、沖縄らしい文化を楽しみながら歩きました。
2023.01.28(綾門大道)
路之家/沖縄県那覇市
久々の 那覇の行きつけ あたたかく
絶品お通し 舌火傷した


日光道中

2021年冬に日光道中を日本橋から日光まで歩きました。今回は日光から歩き、大名行列が屋敷を目指す様に、私は自宅があるさいたま市を目指します。
日光道中は二つの脇道があり、途中の今市宿から小山宿迄が日光壬生道、幸手宿から日本橋迄が日光御成街道。
どちらを選ぶかは、夫婦で協議しその時の気分で決めて歩きました。
2023.04.08
駅前食堂/栃木県日光市
杉並木 桜吹雪が 花を添え
腹が減ったぞ 駅前食堂


2023.04.15
お食事処力鶴/栃木県鹿沼市
雨の道 冷えた身体を あたためる
焼肉定食 ビールと共に


2023.04.22
麺処暁商店/栃木県壬生町
若草が 眩い川辺の 麺処
佐野ラーメンと 赤星の瓶


2023.04.29
ラーメンきさく/茨城県古河市
この味覚 子供の頃から 通う店
大人になっても 忘れることなく


2023.05.03
ポパイラーメン/さいたま市岩槻区
御成道 岩槻宿の 入り口に
みんな大好き ポパイラーメン


2023.05.13
新生軒/埼玉県川口市
住宅地 常連集う 町中華
右往左往し 座席を決める


秩父往還

中山道の熊谷宿から、秩父を経由し雁坂峠を越えて甲府盆地に至る道で、
かつては甲州道中の脇往還としても栄えていました。
日本一暑い熊谷が暑くなる前に、秩父まで歩きました。
2023.06.18
きたのラーメン/埼玉県寄居市
具たくさん 海苔に蒲鉾 インゲン豆
ロース焼豚 自家製メンマ


2023.07.02
レストラン水谷/埼玉県秩父市
真夏日の 街道歩きで 干からびて
レモンサワーで 身体を冷やす


西国街道 山陽道

いままで歩いた街道の中で一番暑かった印象があるのが西国街道 山陽道。
7/15から9/16まで延べ21日、4回に分けて577kmを歩きました。
辛かった道中、熱中症にかからない歩き方を習得しました。
2023.07.15
みなみ/京都府長岡京市
長岡京 十年余りの 国都
この地で食べる ラーメン旨し


2023.07.15
JK/大阪府高槻市
高槻の 土曜の夜は 華やかに
ひとり静かに グラス傾ける


2023.07.16
中華来々/大阪府池田市
店主から 行先聞かれ 答えると
薩摩目指せと 無茶な指南


2023.07.16
スタンド白鹿/兵庫県西宮市
再会は 日本一の 酒処
一緒に歩き 締めは日本酒


2023.07.17
中華料理千石/神戸市須磨区
暑すぎて 前に進まぬ 夏の道
赤い暖簾に 引き寄せられて


2023.07.17
明石焼きゴ/兵庫県明石市
念願の 明石で食べる 明石焼き
漢字のテストは 落第点


2023.07.18
元祖加古川ラーメン/兵庫県加古川市
クセがある 店主のラーメン クセがなく
まろやかな味 胃に心地良し


2023.08.06
英陽軒/兵庫県姫路市
白鷺の 世界遺産を 目前に
まずは胃袋 満たすなりけり


2023.08.06
結/兵庫県姫路市
友と会い 別れた後は ひとり酒
余韻噛み締め 焼酎すする


2023.08.07
盛々亭/兵庫県佐用町
名物の ホルモンうどん 探すうち
食べていたのは 猪ラーメン


2023.08.07
旅館花月/兵庫県上郡町
宿に着き ご苦労さんの 瓶ビール
女将さんから 差し入れ2本


2023.08.07
竜中/兵庫県上郡町
魚屋の 中に角打ち あら便利
肴の友は 播磨の銘酒


2023.08.08
拾銭食堂/岡山県備前市
この店の 屋号の由来は 開業日
昭和十年 十月十日


2023.08.08
和食酒場 伸たこ/岡山市北区
前職の 戦友と会い 二人酒
正義貫く 備前の漢


2023.08.09
山富士/岡山市北区
真夏日の 道のオアシス ラーメン屋
エアコンとビール 身体を冷ます


2023.08.09
旅籠屋/岡山市北区
宿の名が 往時と同じ 旅籠屋で
草鞋を脱いで ああ一人酒


2023.08.10
Ramenya/岡山県倉敷市
水害の 記憶が近い 真備の地の
たかい堤防 あたたかい麺


2023.08.10
大国屋/岡山県矢掛町
矢掛宿 明日は広島 その前に
お好み焼きで 腹から予習


2023.08.10
あかつきの蔵/岡山県矢掛町
蔵の宿 明日は広島 その前に
ご当地味で 腹から予習


2023.08.11
たんぽぽ/広島県福山市
味付けが 尾道風に 寄ってきた
街道歩きの 味の醍醐味


2023.08.11
香屋/広島県三原市
帰り道 お好み焼きで 舌鼓
広島県に 暫しの別れ


2023.08.24
あまんじゃく/広島県福山市
ああうまい 背脂乗った 醤油味
尾道ラーメン ど真ん中なり


2023.08.24
みはらし亭/広島県尾道市
丘の宿 階段登り ふり返る
海の輝き 瀬戸の夕暮れ


2023.08.25
来々軒/広島県三原市
駅近の 昼しかやらぬ 名店の
無駄がない味 禅の如し


2023.08.25
お好み焼き一休/広島県三原市
道沿いの 小さな店の 鉄板の
上に広がる 魔法の世界


2023.08.26
博多屋/広島県東広島市
夏空の 田万里往還 抜けた先
赤い器の 長浜ラーメン


2023.08.26
ゆきみや/広島県東広島市
西条の 赤提灯を 出た後は
酒蔵銀座の 路地に彷徨う


2023.08.27
駅前食堂/広島市安芸区
峠道 遭難しかけた その後の
生きるよろこび 食べるしあわせ


2023.08.27
てっぱん家/広島市南区
街中の 洗礼された 鉄板に
焼きの文化の 深さ味わう


2023.08.28
哲/広島県廿日市市
店中に くまなく伝わる カープ愛
試合のある日 目に浮かぶ様


2023.08.28
あんばらんす/広島県廿日市市
コンビニで 素晴らしすぎる 品揃え
いくら何でも これは買いすぎ


2023.08.29
本家 松がね/山口県岩国市
錦帯橋 橋の袂の 横道に
昼から魅惑の 利き酒セット


2023.08.29
三四郎/山口県岩国市
暗闇の 商店街に 薄明かり
暖簾の奥に 吸い寄せられて


2023.08.30
どさん子/山口県周南市
真夏日の 五十里歩んだ 七日間
お疲れ様の 塩分補給


2023.08.30
日本航空/山口宇部→東京羽田
帰り道 次が最後の 山陽道
空で乾杯 岩国の酒


2023.09.13
毘沙門/山口県周南市
ラーメンの 汁の白さが 物語る
山陽道の 終わりが近し


2023.09.13
AIMA 藍工房 旅籠 /山口県防府市
スーパーで 酒と刺身を 買い揃え
箸と醤油を 忘れた悲劇


2013.09.14
長浜ガーデン/山口県防府市
山口の 昭和色濃き ドライブイン
その佇まい 国宝級なり


2023.09.14
ホテルアムゼ/山口県山口市
タイガース 優勝試合を 観るために
部屋にこもって トンカツ弁当


2023.09.15
おがわ/山口県宇部市
西国の 次に行く先 長崎道
ちゃんぽん食べて 味を先取り


2023.09.15
やよい/山口県山陽小野田市
山陽道 最後の夜は 厚狭の酒
冷の山猿 心に沁みる


2023.09.16
蘭風/山口県下関市
最後の日 昼はいつもの 醤油味
終わる寂しさ 終わる嬉しさ


2023.09.16
ほてい/山口県下関市
歩き終え ここは本州 西の果て
猫と一緒に 祝盃あげる


2023.09.16
もりた屋/山口県下関市
梯子酒 明日は目覚めて 起きるだけ
日付変われど 気の向くままに


大山道 矢倉沢往還

東海道が箱根峠を通る前は、その北側の足柄峠を越えていました。
江戸時代に入るとその道は矢倉座と呼ばれ、東海道の脇往還として機能。
今回は赤坂御門前から三軒茶屋・厚木・御殿場を経て東海道沼津宿に至る道を夫婦で歩きました。
2023.10.07
盛華楼/川崎市高津区
昼飲みの 聖地に近し 町中華
宅の朱色が 食欲そそる


2023.10.21
龍苑/神奈川県大和市
里山の 柿の畑を 抜けた先
心落ち着く 鶴間の中華


家内が膝を痛めたので、矢倉沢往還の続きは来年に持ち越し。
赤山街道

埼玉県川口市にある赤山陣屋に向かう赤山街道。
3ルートあり大宮道・足立道は昨年歩き、最後の越谷道を七五三で賑わう11月の週末に歩きました。
2023.11.05
しゃかりき/埼玉県川口市
宮内庁 埼玉鴨場 通り抜け
赤星と飲む 濃い目のスープ


2023.11.05
senkiya/埼玉県川口市
植木屋の 跡地にできた 異空間
演奏の友 小江戸クラフト


奥州道中

五街道のひとつ奥州道中。
白河宿から宇都宿まで二度目となる復路を、紅葉が美しい時期に歩いてきました。
2023.11.26
白河関の森公園
関を越え 腹が減ったと 見渡せば
採れたて旬の 新そばまつり


203.11.26
芦野温泉/栃木県那須
那須の奥 知る人ぞ知る 湯治場で
秘湯に悶絶 あそこヒリヒリ


2023.11.27
白河ラーメン小峰屋/栃木県大田原市
羽田沼 白鳥の舞 見た後は
南限近し 白河ラーメン


2023.11.27
宇都宮線/宇都宮→さいたま新都心
売店で どの酒買うか 迷う中
見知らぬ客に 酒勧められ


2023.12.02
竹末/栃木県さくら市
永ちゃんの ロックンロールが かかる店
何故かビールは ナッシング


2023.12.02
宇都宮線/宇都宮線→さいたま新都心
電車内 のり塩ポテト 食べちゃ駄目
わかっちゃいるけど やめられない


2023.12.10
タムラ食堂/栃木県宇都宮市
飯処 十四時すぎても 見つからず
暖簾出てるか 緊張の時


2023.12.10
宇都宮線/宇都宮→さいたま新都心
歩き終え 黄ぶなラベルの 四季桜
次の街道 何処歩こかな


長崎街道

長崎街道は、鎖国の時代に出島から異国の文化を運んだ道。
砂糖が運ばれシュガーロードとも呼ばれ、沿道から砂糖菓子の文化が広がったり、ベトナムから献上された像が江戸に向かったり、様々なエピソードが残る道です。
西国街道を歩いた勢いで、2023年の年の瀬に門司から歩き始めました。
2023.09.17
一平/北九州市小倉北区
九州で 茶色い汁は レアスープ
白いスープに 洗脳さりけり


2023.09.17
モツ酒場楽天地/福岡市博多区
悪友と 博多で夜に 再会し
もつ鍋つつき 心溶け合う


2023.12.24
来々軒/北九州市小倉北区
来々と 名の付く店に 外れなし
街道歩きで 今年三度目


2023.12.24
こてつ/北九州市八幡西区
店探し 扉が開く その店へ
知らない人に 悩みを語る


2023.12.25
東洋軒/直方市
炭鉱の 名残り感ずる 商店街
賑わい想い 麺流し込む


2025.12.25
あぐらの離れ/福岡県飯塚市
疲れ果て 宿に籠るか 出掛けるか
止まり木求め 身体は外に


2023.12.26
次郎長/福岡県筑紫野市
峠越え 食べる店なく 焦る中
優しく揺れる 次郎長の暖簾


2023.12.26
コンフォートイン/佐賀県鳥栖市
遅く着き 店が満席 時すでに
困った時の コンビニ居酒屋


2023.12.27
佐賀軒/佐賀県吉野ヶ里町
佐賀平野 小麦畑の 片隅で
ちゃんぽん食う いにしえの里


2023.12.27
たまごのたまご/佐賀県佐賀市
野宿して 街道歩く 若者と
意気投合し 再会誓う


2023.12.28
さんゆうし/佐賀県大町町
気がつくと 昼は毎日 ちゃんぽんに
郷に入れば 郷に従え


2023.12.28
福岡空港/福岡市博多区
一年間 歩き納めて 脚休め
肥前の酒で 道忘年会


番外編

街道歩き仲間や学生とは、街道を肴にその後よく飲んでいます。
一度歩いた道沿いで再訪したくなった地域を訪れる"街道温故知新"では、その地の酒を楽しんでいます。
そんな記録を番外編としてまとめてみました。
2023.05.03(中山道)
日高屋/さいたま市浦和区
中山道 歩く仲間を 待ち伏せし
県民食で おもてなし


2023.08.13
Chinese café Eight/東京都港区
赤坂で 盆に企画の 暑気払い
歩いて集い 電車で帰る


2023.10.23
莫龍/東京都中央区
訳もなく 集まる場所は 日本橋
記念写真は 拳を挙げて


2023.12.09
八木商事/横浜市神奈川区
年末は 街道地図の 著者宅で
大いに飲んで 大いに笑う


2023年の街道と酒の記録は、短歌で表現する事ににチャレンジしてみました。
2024年も短歌にチャレンジします。
他の年の酒と街道
▽2021年
▽2022年
▽2024年
▽2025年
