2026年7月 消費コンテンツ 

8月はずっとゲーム(ランス6とランス10)やってて更新がずいぶん遅れてしまった。
ゲームは面白いんだけど基本的に頭を麻痺させる方向に働くから、何かをアウトプットしようという気持ちがどんどんなくなっていき危険だ。


傑作(90点~)

罪と罰

流石に面白かった。カラマーゾフは工藤訳、罪と罰は亀山訳でよんだけど、明らかに亀山訳のほうが文章が面白い。
なんか亀山訳はキリスト教をわかってない?とかで叩かられているみたいだが、素人が面白く読むぶんには亀山訳がいいっぽいね。俺は次ドストエフスキー読むときは絶対亀山で読む
書いた↓

名作(80点~)

堕落論

白痴もとい坂口安吾の小説短編はあんまり刺さらなかったけど、堕落論もとい安吾の評論エッセイは相当面白いな。

この本に収録されてるエッセイの中では日本文化私観が一番好きでした。
美のイデアに至るためには、現実を0に近づけるか∞に近づけるかしか無い。0に近づけようとしたのが利休で、∞に近づけようとしたのが金満主義豊臣秀吉だと。
で、もちろん現実は0にも∞にもなるはずないのだが、であれば無理やり0に近似して中途半端で満足する利休より、∞に近似させるために現実を頑張り続ける秀吉のほうがマッチョで好きだ、みたいな話とか、良いよね。

ちなみに安吾の言う「堕落せよ」って別にヤニねこみたいな堕落じゃなくて、自分の魂が望むことをやれみたいなありふれた話なんだけどすごい体重が乗ってんだよな~。
カスみたいな自己啓発書は、自分の魂が望むこととはつまり社会貢献です!みたいに即座に繋げたがるが、この本ではそういうのが無くて(当たり前)とても気持ちがいいです。学生時代読んでたらのめり込んでたかも。

ボヘミアン・ラプソディ(映画)

数年ぶりに見たけどやっぱりサイコー
やっぱ洋楽だとQueenが一番好きだなと再認識。
ボヘミアン・ラプソディの歌詞ってまんま罪と罰ですよね。

Queenといえば作詞作曲をメンバー全員やってて、それぞれ名曲を持っているというのが特徴ですが、
フレディの書いた曲は、俺は生きていて良いのか、とか、人生は続いていってしまう、みたいな、生と死の間で揺れている感じで、
ブライアンの書いた曲はもっと救世主的っていうか、生き抜け!みたいな感じなんですよね。両方好き。


良かった(75点~)

君が手にするはずだった黄金について

ASD気質のあるエリートであればあるほど読んでいて楽しい小説だと思う。

いくつかの短編エピソードに分かれている形式の小説なんだけど、
「プロローグ」が図抜けて面白かったです。

主人公の東大生(小川哲)は、エントリーシートの「あなたの人生を円グラフにしてください」という欄を埋めることができずに立ち止まってしまう。
最初はただの逆張り精神だったのが、考えていくうちに、いつしかそれが深刻な問いになり、自己解体しすぎた結果就活を諦め伊藤忠勤務彼女と別れ社会からドロップアウトしてしまう・・・みたいな話。わ、わかるぅ~~~!

書き出しは、なぜ俺が円グラフを埋められないのか、分析哲学のうんちくを使って彼女に頑張って説明する微笑ましいシーンなんだけど、
しかし分析をESではなく自分自身に向けてしまった小川哲は最終的に自己解体が行き着いて働けなくなってしまう。
しかし小川は「自分にとってエントリーシートは、「この」世界における、俺を小説家にしてしまう切掛となってしまったが、もちろん別の可能世界ではサラリーマン小川哲も存在していただろう」
みたいな感じで自分を納得させて小説家を目指す。この正当化もああ~いいっすね~~~

クリプキだかマルクスだかジョブズだか、誰か偉人を持ち出して自分の社会性のなさを正当化する行為、みんな一度はやりますよね?

ニディガアニメ

書いた。

俺がこのアニメで一番面白いと思ったシーンは、カフェで出てくる「クリエイターになるのを諦めた面々」たちがホストとメンヘラ女/エリサラ/カードゲームオタクたちだったところです。そのとおりだと思う。

君のクイズ

北条絆という何でも出来てしまう天才を追う、クイズキチガイ三島の物語。
だいぶ面白かった。小川哲の小説はクソオタであればあるほど面白く読めるのが良いね。
何故北条は、クイズのリード文を全く聞かずに正解することができたのか?を三島が追うという設定は直ちに幽遊白書の天沼戦を思い出す(ポロロッカ)が、全体的な読み味はハンタの蟻編に近い。
(何故ウェルフィンはあの時コムギと答えられたのかを解き明かす的な話なので)

そして北条のモデルは明らかに河野玄斗であり、もっと言えばメルエムなのだが、三島は北条にとってのコムギになれなかった・・・っていうのがあのラスト。

・・・天才北条は過去クイズに救われたが、しかし北条は、0秒回答のロジックを誰にも理解されなかったことで、クイズに裏切られてしまう。
それは北条にとり絶望以外の何者でもなかったのだが、
唯一クイズキチガイの三島だけは、北条の意図を理解しようと近づいてきてくれた。
だから、北条は自分の核である熊のエピソードを披露したが、
三島の反応を見て、三島は自分と同じ領域には生きていないことに気づいてしまった。
だから北条はもう一度心を閉ざしてしまい、資本主義マシーン北条としてオンラインサロンを開設するわけ。

そもそもクイズプレイヤー三島ユキオは、正解が一意に定まるクイズの世界で生きているので、北条からのネタバラシ風SOSである熊のエピソードをを額面通り受け取ってしまうのだ。これが三島の凡人さだし、クイズの限界なんだよねえ・・・

だから、三島の結論は「人生はクイズだ」なんだけど、
北条や作者の結論は「人生はクイズではない」なんだろう。
世知辛い。だって本書きなんて明らかに出題者側だもんね。

コードギアス(二期)

俺は1期のほうが全然面白いと思った!
バニーカレンや奴隷C.C.本当に可愛いけど
1期はルビコン川をわたるかどうかの葛藤の物語だとしたら
二期はルビコン川渡った後の覚悟の話だからなあ。

100分で名著 種の起源

光文社の種の起源はすぐ挫折してしまったので代わりに読んだ。
期待せずにいたけどだいぶ良かった。

ダーウィンの種の起源って要するに進化の存在を家畜の変化やら農作物やら様々な根拠を用いて最良仮説として「考察」するような内容(というかまさしく漫画考察みたいなノリ)なんだけど、今から読むと普通に進化という概念が自明すぎてあんまり楽しく読めなかったんだよね・・・

しかも今から読むと、普通に根拠がおかしい部分も多い。(もちろん200年前の本だから仕方ないんだが)
なんというか、TVアニメ1期放送頃に流行った進撃の巨人ループ説を今さら見ている感じなのが、種の起源の原著だ。

その点、100分で名著の方は、ダーウィンが種の起源を書いた背景やら、種の起源が後世にもたらした影響やらが解説されていてとても良かった。

種の起源のアイデアが地質学+人口論+世界一周の経験という3概念のミックスであることはなるほどとおもった。

地質学→紙が作り給うたと思われていた概念の科学的観察による否定
人口論→進化論の根幹となる競争の概念の着想元
世界一周の経験→大量の観察事実。レヴィ・ストロース的な。。。

その他、種の起源や進化論は観察事実から基づくボトムアップ的な論なのは読めば直ぐわかることなのに、唯物史観的、トップダウン的なマルクス主義やらナチズムやらと何故混同されたり生みの親みたいにされるのかと作者がキレてるのもよかった

現代評論キーワード講義

だいぶ良かった。大学受験参考書の皮を被った読書入門です。
哲学ー人文ー文化ー宗教等様々なジャンルを横断して初学者向けにキーワードとして整理している。
今まで、哲学や思想のガチの入門書のおすすめ聞かれたら困るな~と思ってたけどこれからこれで良いや。


めっちゃちょうどよくない?

こういう入門書系って(14歳からの~シリーズなど特に顕著だが)作者の思想の偏りがほのみえたり、もっと悪いと初学者向けにアジってることも多いのだが、この本はそういうの無く真水で書かれているのが凄く偉い。受験参考書というラベルが明らかにプラスに働いている。

巻末についているブックリストも衒いがなくて偉い。特に難易度を書いているのが◎。

ただし当然受験生はブックガイドの本を読んでいる時間は無いので、
そういう意味でもやっぱこれ参考書じゃねえな。
相当オススメ。

Michael(映画)


そして父になる

本当に不快な映画だった。福山雅治をここまで嫌な奴に見せるの凄い。
仕事に逃げて家庭を蔑ろにしている福山みたいなやつは幸せになれないよ的なメッセージがずーっと流れてくる。まあそれはそのとおりだよ。

ただ、仕事は出来ないし貧乏だけど子供とちゃんと向き合っているリリー・フランキーの家庭が幸せかどうかはわからないよね。
生活には金がいるって前提無視されすぎだ。

他にも福山とリリー・フランキーの視点はそれなりに深堀りされているけど妻ズの視点はほぼ深堀りされていなかったり、流石に大手デベロッパーの課長クラス?一馬力で出来る生活レベルじゃねえだろだったり、ツッコミを入れようと思えばいくらでも入れられるが、
メッセージ性強めるために敢えて他の視点を捨ててんだろうね。

俺がこの映画で一番好きだったのは、福山の本棚がマイケル・サンデルやら海外ビジネス書やらに埋め尽くされているシーン。コムドットやまとか?

まあでもこれから友達に子供が生まれたら、一応見といたほうがいいよって勧める程度にはいい映画だった。

学生を戦地に送るには

戦前京大生を侵略戦争賛成派に洗脳させ戦地に送らせまくった田辺元の伝説の講義を聞いて最強の陰謀論レトリックを学んで耐性を身に着けよう!って本。不快だけど面白かった。

・8割正しい事を言って、最後の2割で間違ったことを言おう
・最後の2割は論理構成めちゃくちゃ、飛躍しまくりでいいので、とにかく同じことを熱く繰り返そう
・正しい事を言っている8割については、参照されると困るので、引用先は隠そう

みたいな感じ。ちなみに田辺の論要約すると↓みたいな感じ。

1:人類の過去の積み重ね、種族間の対立の歴史があり、その結果今の日本という座標がある
2:だからこの座標、つまり大日本帝国の領土は簡単には動かせない
3:しかし、座標を変えようとする意思を持つことはできる
4:そういう、意思をもった人間こそが真の人間なのだ。
5:歴史は、常に意思を持った上位数%の指導的人間、つまりエリートが動かしてきた。その結果徐々に世界は良い方向に向かっている
5:だから、エリートの卵たる君たちこそ真の人間にならなければならない!
6:座標を変える行動とはつまり国のために死ぬことだ。さあ死ね!さすればお前は英霊の座に登録され永遠となる・・・

うーんカルトやらブラックベンチャーやらがよく使うエリートの洗脳テクニックだ。(領土を信仰にすればカルト宗教になるし大企業やシリコンバレーにすればベンチャーになるね)

言語化するための小説思考

それなりに面白かった。 
一番良かったのは、自分の価値観は捨てたほうがコンテンツを楽しむうえでは良いってとこ。

例えば俺はバチェラーの何が面白いか全く理解できないが、バチェラーは世間に評価されている。
であれば世間と自分の感性にズレが有るはずで、ただ面白くないと捨てるのではなく、ズレを確認しにいったほうが持ち帰れる情報量は多いよねというのはそれはそう。

ペスト

明らかにポストカラマーゾフな小説だし、極限状態で人はどうなるのか?というテーマは俺好みなんだけど最後までノレなかった。

正直翻訳が悪いような気もするんだけど、
それを差し引いても登場人物に成長がない。というか既に成長しきってしまっている。
鬼滅で言うなら、この小説に出てくる人たちは、ほぼ全員俺は俺の職務を全うする煉獄さんみたいな思想の持ち主で、俺は煉獄さんはあまり好きではないのでやっぱり合わない。
煉獄さんはノンフィクションで十分だよ。夜と霧のほうが好きだね。

普通(~74点)

平成史

1987年のソ連崩壊ー昭和天皇崩御で、
左と右どちらの父もいなくなったのが平成の始まりで、
その後様々な新リーダーに(オウム・古泉・民主党)裏切られ続けたのが平成中期。
その後3.11という破壊があり、リーダー不在の再生フェーズでは個々人の努力にスポットがあたり、結果新自由主義的な価値観に完全に支配されたのが平成後期、というまとめだった。そうかもしれない。

確かに平成31年~令和元年あたり(コロナ前だね)って一番自己責任的価値観が強かったというか死ぬこと以外かすり傷的な感じだったな~なんて思いながら読んだ。今振り返るとあそこがピークだったけどね。
今は共同体的価値観とナショナリズムが普通に復活している。


プロジェクト・ヘイル・メアリー(映画)

滑り込みで映画館で見てきました。
最後のシーン(エヴァストラットが氷河期の地球でグレースからのビデオレター受け取るシーン)は良かったけど他はあんまり覚えてない。情報量が少ない映画だった気がする。

科学検証パートがだいぶ減らされてたのもちょい不満。客層広げるためだろうけど。
いや遠心分離機にチューブをバランスで置いてないとかは俺はあんまり気にならなかったけど、タウメーバの進化に関する記述省いたりしたら最後のロッキーのシーンがわからなくならないか?

斜め45度の処世術

小川哲のエッセイだけどあんまり面白くなかった。

俺は素人のエッセイも大好きだし小説家のインタビューも大好きなんだが小説家のエッセイはハマる打率が低いな。
エッセイの面白さって感性を現実に殺されそうなやつがギリギリで絞り出している感じなんだけど、
小説家のエッセイって現実と既に距離取っちゃってるみたいなところもあるのかもしれない。

罪と罰を読まない

三浦しをんがめっちゃ腐女子みたいな語りしててよかった

ディスタンクシオン


文化資本の話なんだけど100ページ読んでもう良いやとなった。学歴が高いほどクラシック聞きがちとか、
上流階級ほど玄米を食べて低いほどジャンクフードを食うとかそういう話&学歴が同じならより文化資本格差はより露骨になるみたいな話。今風に言えばT出身Kってやつ。原典にいってもしょうがないんだけど、「もういいよそういうの」

なんでそうなるのか。それは「学校」で学ぶことで「一般的な」審美眼が身につき、それが「教養」になるから、だそうだ。
今ではもう自明な話だし、そもそも俺はこういう、知ったところで特に自分の行動に結びつかないタイプの話が好きではない。 

人間関係を半分降りる

エッセイの話の続きだけど、俺は繊細な人が書く文章はすごく好きなんだけど、繊細な人の「生き抜き方ハウツー」的な本はそんなにだな。

夫婦不在社会

本当につまらなかった。
論自体はいつものやつ。
・日本現代文学には夫婦の親密圏全然描写されてない
・何故なら労働で現代人はいっぱいいっぱいだからだ。子育てまではギリ差し込めても夫婦関係維持するエネルギーは残っていない
・それは良くない!半身で生きろ!

以上!つまんねえ~~~!
つまらなすぎて引用の上野千鶴子とかが相対的にめちゃくちゃ面白く感じてくる。そもそも1時間半で読める程度の分量なのに、情報はそれ以上に少ない。「なぜ働」や「考察する若者たち」はつまらないなりに魂を感じたがこの本には魂を全然感じない。独身が無理して夫婦の本描かなくていいよ・・・

そもそも、冒頭で、この本が合わなかったら他の本を手に取ってくださいという留保の付け方も気に入らない。
しかし三宅香帆の商売のうまさだけは敬服する。買うつもり一切無かったのに本屋のいい場所でサイン本が平積みされてんだこれが。タイトルも良いし図書館に落ちないのほぼ確定しているしつい買ってしまった。
悔しいです!

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