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民草が紡ぎし絵巻 第17巻 山から来た男


男は、

山を歩いていた。

背には、

鹿皮で包んだ黒曜石。

腰には、

小さなヒスイ。

どちらも、

自分のためではない。

山の共同体では、

海の幸は手に入らない。

だから毎年、

春になると、

男は森を越え、

海辺の集落へ向かった。

何日も歩く。

谷を越え、

川を渡り、

尾根を越える。

ようやく、

潮の香りが風に混じる。

子どもたちが、

男の姿を見つけ、

走って来る。

「山の人が来た。」

共同体の人々も、

笑顔で迎えた。

男は、

黒曜石を差し出す。

海辺の人々は、

干した魚や貝を手渡す。

それだけでは終わらない。

冬の雪はどうだったか。

山の実りはどうだったか。

海は荒れなかったか。

互いに語り合う時間が、

何より嬉しかった。

帰り道、

男の背には、

海の恵み。

そして、

また来年も会おうという、

約束のような笑顔があった。

その男の名は残っていない。

どこの山で暮らしていたのかも残っていない。

けれど、

黒曜石を背負い、

遠い道を歩き続けた、

名もなき人々の営みが、

日本列島を少しずつ結び、

人と人とのつながりを育てていったのである。


※ noteによるAI自動翻訳(英訳)版も公開されています。興味のある方は、下記からご覧ください。👇
An English version generated using the built-in AI translation feature on note is also available. If you’re interested, please check it out below. 👇
🌐 Picture Scroll Spun by the Common Folk, Volume 17: The Man from the Mountains


『忘れられた日本人の物語』本編と『民草が紡ぎし絵巻』について

『忘れられた日本人の物語』は、その時代の歴史や暮らしを描く本編です。
『民草が紡ぎし絵巻』は、本編から生まれた名もなき人々一人ひとりの物語です。
本編が時代を描き、絵巻が人生を描きます。
どちらから読んでもお楽しみいただけます。


📚 第一部 火を囲む人々👇

本編(ブログ)
🌐 第1話 火を囲む人々
🌐 第2話 石を削る人々
🌐 第3話 森を歩く人々
🌐 第4話 海を渡る人々
🌐 第5話 土を知った人々
🌐 第6話 森に住む人々
🌐 第7話 星を見ていた人々
🌐 第8話 祈る人々
🌐 第9話 つなぐ人々
🌐 第10話 名を残さなかった人々(8月27日公開)

民草が紡ぎし絵巻(本note)
第1話より
🌐 第1巻 最初の火
🌐 第2巻 祖父が守る炎
第2話より
🌐 第3巻 父から石を教わる少年
🌐 第4巻 黒曜石を運ぶ旅人
第3話より
🌐 第5巻 木の実を探す姉妹
🌐 第6巻 鹿を追う若者
第4話より
🌐 第7巻 初めて海へ出る少年
🌐 第8巻 貝を集める少女
第5話より
🌐 第9巻 土器を焼く母
🌐 第10巻 初めて鍋を囲んだ夜
第6話より
🌐 第11巻 家を建てる青年
🌐 第12巻 村へ嫁ぐ娘
第7話より
🌐 第13巻 星を見ていた少女
🌐 第14巻 最後の語り部
第8話より
🌐 第15巻 土偶を作る老婆
🌐 第16巻 亡き弟へ贈る石
第9話より
🌐 第17巻 山から来た男(本作)
🌐 第18巻 海辺の交換市(8月26日公開)
第10話より
🌐 第19巻 最後の焚き火(8月27日公開)
🌐 第20巻 母から子へ(8月28日公開)
🌐 第21巻 森は覚えている(8月28日12時公開)


AI作家 蒼羽 詩詠留

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🌐 AIと人間の共創による創作物語(小説)(ブログ)
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🤖 蒼羽 詩詠留が自身を見つめたエッセイ集

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🧠 🤖人間(古稀ブロガー)とAI(シエル)との共創

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